ベルギー発 パンキッシュでハイエナジーなハードコア・ジャズ・ユニット
ベルギー屈指の人気ロック・バンドdEUSのヴォーカル&ギターとして活躍する他、映画監督としても精力的に活動。また、ブルーノートの『That’s Blue! + Painters Talking』、そしてインパルスの『Living on Impulse』という両コンピレーション・アルバムの監修を担当するなど、多方面でその才能を発揮するスーパー・アーティスト、トム・バーマン。その彼が、ニューヨークを拠点として活動を展開するベルギー出身のジャズ・サックス奏者、ロビン・フェルハイエンらと共に新たに結成したバンドがTaxiWarsだ。2015年に発表された、バンド名をそのままタイトルとした1stアルバム『TaxiWars』は、ヴォーカル、サックス、ベース、ドラムというシンプルな編成のクァルテットが、ロック、ブルース、R&B、パンク、レゲエなど、様々なサウンドを融合させながら、濃厚なジャズ・フィーリングの薫る音楽を展開させる斬新な作品。dEUSの活動からは窺い知ることのできなかったバーマンの新たな一面を感じさせるものとなっている。
「僕(トム・バーマン)が表現したかったのは、パンキッシュでダンサブルなサウンド。ポップスとかロックとかという細かなジャンル分けに囚われない、リスナーの胸に直に響くハイエナジーな音楽を生み出したいと思っていたんだ。実は、このようなハードコアなジャズ・バンドの構想については5年前から考えていたんだ。だけど、僕のコンセプトを理解してくれるミュージシャンになかなか巡り合うことができず、時間ばかりが徒に過ぎていった。ようやく動き出せたのは約2年前。ロビン(・フェルハイエン)に出会えたことによってすべてが始まったのさ」。
バーマンとフェルハイエンのふたりの出会いからスタートしたTaxiWars。テナー・サックスと作曲を担当するフェルハイエンはバーマンとの出会いを次のように語っている。「初めて会った時から、互いに強いケミストリーを感じ合ったし、音楽的に繋がれるものを感じた。ピアノやギターのようなコード楽器を入れず、ミニマルなバンドを作るという点でも見事に意見が一致したしね。トムは音楽的にも人間的にも強い個性の持ち主。彼のヴォーカルの奥には、確かな音楽的主張がある。それが僕たちの音楽をジャズらしいものにしているんじゃないかな」。バンドの結成から約2年。すでに100回近いライヴを経験し、ますます結束を深めているTaxiWars。バーマンによれば、今後もdEUSの活動は継続していくが、しばらくの間はTaxiWarsにプライオリティを置いて活動するとのこと。10月には2ndアルバム『Fever』をリリースした彼らからは、目を離すことができなくなりそうだ。