MIKE LUNDY
 

ハワイ産レア・ソウル~AOR~ディスコの貴重な音源をコンパイル!

 70年代から80年代初頭まで、ハワイでは「コンテンポラリー・ハワイアン」と呼ばれる音楽が数多く生みだされた。その代表がカラパナセシリオ&カポノだろう。しかしそれ以外のミュージシャンはほぼ無名といっていいだろう。そんなアーティストのひとりマイク・ランディーのリズム・オブ・ライフを昨年CD化させたハワイ在住のDJであり、レーベル“アロハ・ガット・ソウル”を主宰するロジャー・ボン氏が、こうしたハワイから出ることもなく埋もれた音源を丹念に探りコンパイルしたのが本作。

VARIOUS ARTISTS ALOHA GOT SOUL - SOUL, AOR & DISCO IN HAWAI'I 1979-1985 STRUT/ALOHA GOT SOUL(2016)

 テンダーリーフノヘラニ・プリシアーノ、それにレムリアくらいまではその音楽も含めてご存知の方も多いことと思うが、その他はジャケットを見たことあるなと言う程度のレア度数の高いアーチストばかりだ。その音楽性はテンダーリーフやアイナ、デビュー時のカラパナのような音を聴かせるその名もハワイなどのAOR風味のアコースティック系、まるでシルクディグリーズの頃のボズ・スキャッグスのバックのような大らかさとブラスを大胆にフィーチャーしたレムリアやロイ&ロー山下達郎の《スパークル》のカヴァーが最高にカッコいいグリーンウッド。大胆なパーカッシブな演奏でビーチに特設されたクラブが似合いそうなノヴァロックウェル・フキノなど様々だ。

 ロジャー・ボンはこの頃の音楽は伝えたいメッセージを音楽に乗せていると言う。60年代後半から70年代初頭ギャビー・パヒヌイカジメロ兄弟らがハワイアン・ルネッサンスという、ハワイ伝統音楽を周到しながらも自らのアイデンティティーを表現する音楽で人気を博すのを見て育ったここのアーティストたち。そして成功には程遠かったこともあり、ほとんどが届かなかったメッセージを思い、40年の時の経過に儚さを感じたりもしてしまう。でもホノルルに降りたった時の甘い香りを思い出しながら、大らかなグルーヴに身を任せれば、それが彼らのメッセージとして鮮烈な光を放っているようにも感じられる。