インタビュー

アッシャーやDJプレミアら参加! USで活躍する東南アジア人SSWのユナが2作目『Chapters』でめざした新しいチャプター

アッシャーやDJプレミアら参加! USで活躍する東南アジア人SSWのユナが2作目『Chapters』でめざした新しいチャプター

新しいチャプターの始まり。アトモスフェリックな音景色から浮かび上がる凛とした美しさに心の震えが止まらない……

 ユナは現行のUSメインストリーム・シーンで活躍する数少ない東南アジア人シンガー・ソングライターだ。86年にマレーシアで生まれ、2作目『Decorate』(2010年)の頃までファイストに通じるアコースティックな作風を見せていた彼女は、2012年のUS進出作『Yuna』と翌年のメジャー・デビュー盤『Nocturnal』でファレルアンドレ・ハリスクリス・ブレイドチャド・ヒューゴらの助力も得ながらR&B寄りのスタイルをモノにした。その後、インターネットの『Feel Good』(2013年)やデヴィッド・フォスター監修の企画盤『We Love Disney』(2015年)などに参加。ここ最近では、H&Mやバーニーズ・ニューヨークやユニクロの広告に起用されたり、地元のクアラルンプールでアパレル・ショップをオープンしたり、ファッションの分野でも大きな注目を集めている。

YUNA Chapters Verve/ユニバーサル(2016)

 そんななか、2015年のマレー語盤『Material』を挿んでヴァーヴからは3年ぶり2枚目となるニュー・アルバム『Chapters』が完成した。まず太字のトピックとなるのは、豪華なゲスト勢とプロデューサー陣。先行曲“Crush”はアッシャーのセンシュアルな歌声にユナの清廉なヴォーカルが寄り添う名デュエットだ。

 「アッシャーを聴いて育ったから『Confessions』は私の好きな作品のひとつね。私の音楽的なヒーローがアルバムに参加してくれるだけで凄いことなのに、彼は全力を出してくれたのよ」。

 また、アンビエント風情の“Used To Love You”で共演したジェネイ・アイコについて、「彼女はスタジオに来ると、すぐに素晴らしいコーラスを思いついてくれて、私はそれに合わせてヴァースを作ったの。本当に恵まれていたわ。ジェネイに参加してもらうことがとても大切だった。彼女の声が大好きだし、いつも聴いているの。私が『Chapters』を作るにあたって積んできたさまざまな経験のサウンドトラックは、常に彼女の音楽だったのよ」とコメント。2人の相性の良さは、揺らめきながら共鳴するような歌唱の連なりを聴けば瞭然だろう。

 そして、鳴った瞬間に彼とわかるビートをDJプレミアが提供した“Places To Go”も今作のアクセントに。「DJプレミアとコラボしたと言っても信じてもらえないの!」とユナは興奮を抑えられない様子だが、ブームバップなトラックをクールに乗りこなす姿は、なかなか堂に入っている。

 ほかにも、ミゲル仕事で名高いフィスティカフスが“Crush”をはじめとする半数近い曲に関わり、『Nocturnal』で手合わせ済みのロビン・ハンニバルシャーデー風の“Best Love”など3曲に関与、デヴィッド・フォスターがスケール感のあるバラード“All I Do”をプロデュースして……とトピックは盛りだくさん。でも、アルバムの柱にあるのはもちろん主役の凛とした清涼なヴォーカルに他ならない。

 「単なる曲のコレクションではなく、ひとつのまとまった作品よ。これまでにやってきたこととはまったく違うものね」。

 歌声と同様、詞世界も清廉だが、表現は巧み。例えば“Crush”は、求め合う男女の情事と無垢な10代の恋愛という2通りに解釈できる。

 「トリッキーよね。だって私は宗教的な背景のおかげで、セックス、ドラッグ、アルコールについて書けないんだから。だからこそ、他の人でも共感できるような気持ちの表現方法を模索するの」。

 イスラム教徒である彼女は歌詞上の制約も多い。しかし、それが創作活動の妨げになることはないようだ。ムスリム女性を象徴するヒジャブ(頭に巻くスカーフ)姿でワールドワイドな成功を収めたユナは、最後にこのような言葉を発している。

 「ヒジャブではなくて、作品を通して私のことを認識してもらいたいの。まずは私の音楽を知ってほしいわ。できるだけ等身大のもの、時代を超越した曲を作って、ソングライターとしての自分を証明したい。『Chapters』ではやっとそれができたの」。

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