格好良いチップ・チューンをやっている若い世代がいることを伝えたい

――そんなお2人がイヴェント〈Pico Pico: Impossible〉で共演されるわけですが、まずヒゲドライバーさんは出演するだけではなくて、プロデューサーとして関わっているんですよね。

ヒゲ「そうですね。(主催の)Live Nationから何か一緒にやりたいと声をかけていただいたので、じゃあピコピコのイヴェントをやろうと。お話している通り、このシーンを大きくしたいとずっと思っていたので、これもいいチャンスだなと」

――ラインナップはどのように決められたんですか?

ヒゲ「言ってしまえば、交流があって仲がいい人たちを集めたんですけど、唯一sugurukaさんだけは面識もないなかでお呼びしました。すごく若い女性のアーティスト(現在19歳)で、可愛いチップ・チューンを作っている。音源もリリースしていて、ライヴを含めて活発に活動されているんですよね。そういう勢いのある人とぜひ一緒にやりたいなと」

suguruka
 

sugurukaの2016年作『Last romance』
 

――出演者のなかでは黒魔さんもかなり若い方ですよね。

ヒゲ「彼は音楽ゲームに曲を提供していたりして、若いながらも結構知名度のあるアーティストなんです。彼はライヴの時にゲームみたいなストーリーを作ってくることが多いんですよ。プロローグから始まって、物語が展開してエンディングを迎える。ライヴ経験が豊富なわけではないんですけど、作り込みがすごい。そういったお客さんを楽しませようという気持ちがいいなと」

黒魔
 

2015年のコンピ『Ultra Hitech 01』収録曲、黒魔“lost found melody”
 

――そういう若い世代を揃えているのが、ラインナップのひとつのポイントに感じました。

ヒゲ「そうですね。チップ・チューンのシーンには年齢的に結構上の人たちが多くて、僕でも若手のほうだったりするんですよね。でも新しい世代で格好良いチップ・チューンをやっている人たちも出てきていることを伝えたいんです。一方で、若い人たちにチップ・チューンをやりたいと思ってほしいという意図もあります」

――そして女子チップ・チューン・ユニットのスピカの夜も出演します。ヒゲドライバーさんは楽曲提供していますよね。

ヒゲ「スピカの夜は楽曲提供だけではなくて、どういうことをやっていくかという方向性のところでも、プロデューサーとして関わらせてもらっているんです。ディレクターさんが〈ピコピコでやりたい〉ということだったので、楽曲はピコピコ全開になっています」

スピカの夜
 

――どんなステージになるんでしょうか。

ヒゲ「彼女たちはそもそもライヴをしたことが過去に1回しかないんですよ。もともとネット配信の番組をやっていた子たちが曲も出す……という流れなので、がっつり音楽活動をしているわけではないんです。でも、2人ともスピカ以前のキャリアもあってファンが多いし、またライヴをやってほしいという要望がすごくあって。本人たちも音楽をやりたい気持ちが強いですし、今回はすごい盛り上がるんじゃないかと思っています」

※元・可憐Girl's島ゆいかと元・さくら学院飯田來麗から成るユニット。動画メディア〈STOLABO TOKYO〉で配信されているゴロ寝トーク番組〈スピカの夜〉に出演する2人が結成した

スピカの夜の2015年のシングル“SPICA”
 

――そしてMC8bitさんは今回、トラックメイカーのSHOGOさんをDJに迎えた編成で登場します。

MC8bit「今年に入ったあたりから、ちょこちょこイヴェントに呼んでいただく機会も増えてまして。ライヴの後にTwitterなんかを見ると、初めて観た人が〈好きになった〉と言ってくれていることが結構あって、それは嬉しい限りですね。まあ、レトロなゲームの曲をやった時に、若い子がポカーンとしてる瞬間もあったりするんですけど(笑)。それも、俺のライヴにヤラれちゃったんだなと解釈しています(笑)」

ヒゲ「でも実際、ファミコンを知らなくてもカッコイイと思えるんじゃないですかね。パフォーマンスとしてすごいんですよ」

MC8bit「ライヴの構成は、DJとかなり細かく話し合っていますね。ここでこのネタを入れて、こう繋いで……って。それが響くと嬉しいです」

――ヒゲドライバーさん自身のライヴはどんな感じになりそうですか?

ヒゲ「僕はMC8bitさんのステージに“1UP”で出ますし、スピカの夜のステージにも出るので、実質3回出演します(笑)」

MC8bit「ヒゲちゃんはライヴだと口が悪くなるんですよ。〈お前らピコピコしてんのかー!!〉って豹変して、物凄いパンク。でもマイクはファミコンのコントローラーっていうギャップがいい」

ヒゲ「なんすかね……もともとパンク好きというのもありますけど、ライヴだと楽しくなっちゃって、ワー!ってなっちゃうんですよ(笑)」

――ピコピコなイヴェントとして、意外とこれまでにないバランスのラインナップですよね。

ヒゲ「ガチのチップ・チューン・イヴェントというよりは、もう少し幅を持たせたものにしたいんですよね。ピコピコをあまり知らない人でも楽しめるイヴェントになったらいいなと」

――では最後に、〈Pico Pico: Impossible〉に向けてお2人が思うところを聞かせてください。

MC8bit「さっきの黒魔さんの話を聞いていて、〈俺らはもっと作り込んでいくしかないな〉と思いましたね。小芝居を入れるとか……例えば誰かが死んでいるところから始まってみたり(笑)。まあ、なにかしら考えて臨みます」

ヒゲ「やっぱりシーンを広げたいという気持ちはあるんですけど、楽しいことをやっていけばシーンは勝手に広がっていくものなのかなと思うんです。最高の演者たちが集まってくれますし、それでいいイヴェントができればと思います」

――ところで、お2人のコラボの続きにも期待してしまいますが。

MC8bit「それはもちろん。また何曲か作りたいと思っていて」

ヒゲ「やりたいですよね。イヴェントはもちろん、ファミリードライバーの今後にも期待しておいてください!」

 

Pico Pico: Impossible

11月17日(木)@東京:渋谷clubasia
18:00開場/18:30開演
出演:ヒゲドライバー/スピカの夜/MC8bit/黒魔/suguruka
前売 4,000円/当日 4,500円(オールスタンディング、ドリンク代別途)

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