ラヴァーズと一口に言っても、asuka andoの歌にはファンシーさと共に独特の包容力や浄化作用がある。そして、どんな心模様でも、どんな景色を見ていても、どんな時間帯でも、それぞれのシチュエーションにフィットするように色を変えてしまう柔軟性や普遍性も――。
そんな彼女のチャームを備えながらも、やや違う角度の楽曲に挑んでいるのが、先日7インチでリリースされた“今夜がトロピカル”だ。LITTLE TEMPOの土生“TICO”剛のスティールパンが効いた、ゆる~いダンスホールに仕上がっており、ほんのりトロんとした歌唱もこれまでにない感じで、なんだかイヤらしい(良い意味で)。キーボードでも参加している外池満広が手掛けたダブ・ミックスもかなりイイ仕上がりなので、上掲の試聴音源をまず聴いてみて!
また、昨年リリースされた最新作『mellowmoood』がLP化されている。こちらは冒頭に書いたasukaの魅力がピュアに目一杯詰まった逸品なわけだが、なかでも個人的に〈まさに!〉と思う“ゆめで逢いましょう -see you in my dreams-”のミュージック・ビデオが公開中だ。エマーソン北村によるヴィブラフォンを思わせる鍵盤と、ふんわりとした歌に思わず身を任せたくなる同曲は、もはやasuka andoのイメージそのものと言える淡いパステルカラーをフィーチャーした秀逸な映像と相まって、いっそう心地良いムードが引き立てられている。本当にいい夢を見せてくれそう……。