ダンス・パフォーマンスに定評のあるガールズ・グループがまた新たに登場した。沖縄より舞い降りた、歌って踊ってラップもできる3人の小悪魔たち、DEVIL NO ID。EDMを経由したアグレッシヴなサウンドと、幼い頃からのレッスンで鍛え上げた表現力豊かなダンス(なかでもkarinはすでにダンス歴11年!)、未来的なイメージがひしめくサイバーなヴィジュアルに加え、イラストレーターのうとまるが描く世紀末なマンガ「DNI(DEAD NIPPON ISLAND)」などを展開することで、二次元と三次元を交差させた〈カッコカワイイ〉世界観を打ち出しているユニットだが、当の本人たちはいたって自然体。試しに〈自分の悪魔的だと思う部分〉を訊いてみると……。

 「寝起きの顔」(hana)。

 「なにそれ(笑)。karinは、〈できないだろうな〉ってことを人に無茶ぶりでやらせて、できなかったら笑うとこ(笑)」(karin)。

 「めっちゃ悪魔(笑)」(hana)。

 「私は人の話を聞かないところ」(mion)。

 「いや、自分でわかってんじゃん(笑)!」(karin)。

DEVIL NO ID Sweet Escape バップ(2017)

 ……と、なんとも微笑ましいやり取りが返ってくる。今回のニュー・シングル“Sweet Escape”は、そんな彼女たちが歌うからこそグッとくる作品になっているのではないだろうか。デビュー・シングル“EVE -革命前夜-”に続いてTeddyLoidがプロデュースを手掛けた表題曲は、「(ファンの)皆さんから〈この曲良いよね〉と言われることが多かった」(karin)というライヴでは定番のナンバー。へヴィーに唸りまくっていた前作から一転、アコギの柔らかな音色を先導役としてエレガントに上昇するプログレッシヴ・ハウスとなっており、弧を描くような美メロとフィルター加工されたヴォーカルがスッキリ感を増強している。そこに乗る〈嫌な自分〉に〈バイバイ〉を告げる歌詞は、思春期特有の惑いから脱却しようともがく強い意志が描かれたもの。また、同時に表現者として成長中の彼女たち自身とも重なるものだ。

 「少しヒネくれてるけどポジティヴな歌詞と切ないメロディーを、今のウチらに重ねてくれているんだな、と感じました」(karin)。

 「Bメロの〈言いたくないこと なんて言いたくないよ/笑いたくない時に 笑うのつらいから〉という歌詞は、みんなが共感できて好きな部分です。落ち込んでるときはひとりになりたかったり、誰とも話したくないときもあると思うので」(hana)。

 「ダンスは切なさを大切にした振り付けが特徴です。最後のアウトロで一気に爆発するところも見てほしいです!」(mion)。

 そのように女の子の複雑な内面をあくまで爽やかに映す一方で、カップリング曲の“fashionista”ではオシャレを目いっぱい楽しみたいイマドキ女子な部分にフォーカス。こちらはS-kit(GROUND-LINE)製のキラキラと開放的なエレクトロ・ハウスで、ふてぶてしさが逆にキュートなmionのラップも聴きどころだ。

 「〈メイクが決まればLA LA LA/ピアスも踊るSHA LA LA LA〉の部分が、出掛ける準備をしてワクワクな女の子の心境が伝わって、歌いながら楽しくなれるから好きです」(karin)。

 「こんな女の子になりたい!」(hana)。

 メディアを横断する仕掛けで多方面からの入り口を設けつつ、クールなアイドル性と、正統派のダンス&ヴォーカル・グループとしての実力を兼ね備えたDEVIL NO ID。「誰もが口ずさめるような曲を持った、国民的アーティストになりたい!」(karin)、「もっと大きいステージに立ってみたいし、世界に羽ばたいていきたいです!」(mion)という野望を胸に、3人はこの先もグングンと進化していくことだろう。

 

DEVIL NO ID


karin(ヴォーカル)、hana(ヴォーカル)、mion(ラップ)から成るガールズ・ダンス・クルー。2016年、沖縄にて結成。音楽作品のみならず、SNSやコミックなどでもアウトプットし、そのメディアミックスで自身の世界観を構築するというプロジェクトを推進している。その一環で、クリエイティヴ・チームのPOPCONEがプロデュースを、作画をうとまるが担当する3人が主人公のオリジナル漫画もCDブックレット内で連載中。2016年9月にシングル“EVE -革命前夜-”でメジャー・デビュー。同年末にはももいろクローバーの主催ライヴ〈ももいろクリスマス2016 ~真冬のサンサンサマータイム~〉にも出演。このたび、ニュー・シングル“Sweet Escape”(バップ)を4月5日にリリースする。