イルマティックかつドラマティックな3年間の集大成! 強靭なサウンドとタフなダンスで暴れ回る3人の悪魔がついにファースト・アルバムを完成させたぜ!!!

3人の全部が詰まってる

 TeddyLoid製のブロステップなデビュー曲“EVE -革命前夜-”で革命の狼煙を上げてから2年6か月、クラブ・ミュージック由来の最新マナーを踏まえた刺激的なポップ・サウンドを沖縄から発信してきた3人組ガールズ・ダンス・クルー、DEVIL NO ID(以下DNI)が、ついにファースト・アルバム『Devillmatic』を完成させた。彼女たちのアイデンティティー〈DEVIL〉と、楽曲やライヴで大切にしている要素〈ドラマティック〉を掛け合わせた造語をタイトルに冠した本作には、3人のこれまでの軌跡が刻まれている。

DEVIL NO ID Devillmatic バップ(2019)

karin「私たちのこれまで、DNIの全部が詰まってる作品になりました。デビュー曲から最新曲、ライヴでしか披露してなかった曲まで収録してて、曲ごとで歌い方も違ってるし、気持ちの入れ方もだんだん進化してるので、私たちの成長過程も楽しんでもらえると思います」

hana「DNIは強めなタイプの曲が多いんですけど、可愛い曲やゆったりした曲もあるので、ライヴのセットリストはドラマティックな展開を意識して自分たちで考えてるんです。今回のアルバムもそれを意識したものになってます」

 そんな本作の幕開けを飾るのが、昨年のシングル曲“BEAUTIFUL BEAST”に続いて上田剛士(AA=)が作曲とサウンド・プロデュースを担当したリード・トラック“サバイバー”。ドラムンベース仕様の強靭なデジタル・ハードコアに乗せて、たとえ〈身元不明(=NO ID)〉だろうがこの世界を余裕でぶっちぎり生き抜いてみせるという決意を歌とラップで宣言した、強気で前向きなDNIらしいナンバーだ。

hana「この曲は一言で言うと〈若者の主張〉みたいな感じです(笑)。自分と同じ意見の人が集まって〈世界を変えていこうぜ!〉っていう、猪突猛進な反抗ソングというか」

karin「世間のルールに対して〈そうじゃない!〉という気持ちとか、自分の中の秘めた思いを出してるんですけど、ちょっと内気な部分も隠れていて。そこを聴いてくれた人がどう捉えるかも、おもしろい曲だと思います」。

mion「低音が効いてるからヘドバンしたくなる(笑)」

 アルバムには他にも、「楽しみすぎて眠れない、遠足に行く前日みたいな感じの曲」(karin)と語るフレンチ・タッチのワイワイ系エレクトロ・ディスコ“PLAY GROUND”や、シングル曲“Sweet Escape”の続編で「平凡な毎日の繰り返しでも、いつでも次のステージに向かう準備はできてるよっていう気持ちが込められています」(hana)というビッグルーム・ハウスの“RSG”など、すでにライヴで評判のトラックを含む全13曲を収録。金曜の夜のワクワク感を〈Thank God It's Friday Night〉と無敵感たっぷりに歌い上げる週末アンセム“TGIF”では振付けにムーンウォークを採り入れたり(mionいわく「マイケル・ジャクソンのムーンウォークに憧れてダンスを始めたので、披露することができて嬉しいです」)、ライヴでダンスの見せ場を彩るKENSHU提供のトゥワーク“ジェネレーション反抗期”など、ストリート・ダンスのカルチャーをバックボーンにヒップホップ、EDM、ベース・ミュージックなどの流儀をナチュラルに融合させたスタイルは、DNIの真骨頂と言えるものだろう。

 

3人の大切なもの

 ただ、アゲるばかりでは彼女たちのライフは表現しきれない。そこに年相応の女の子らしい(悪魔に年齢という概念はないのだが……)、繊細な感情や等身大の気持ちが加わることによって、『Devillmatic』というドラマは完成するのだ。例えば、今回が初音源化となる初期からの持ち歌“うしみつどき”は月夜の晩に〈きみ〉への想いを馳せる無重力ハウスで、DNIには珍しくロマンティックな曲だ。

karin「私の中でいちばん好きなのがこの曲なんです。DNIにラヴソングはないんですけど、この曲の歌詞は受け取り方によっては、恋をしてる女の子の止まらない気持ち、モヤモヤした想いっていう、乙女チックな感じにも聴けるのかなと思ってて。自分はファンの方を恋人だと思って歌ってます」

mion「何それ(笑)」

karin「アイドルっぽいことを言ってみたくて。言ったことないから(笑)」

hana「この曲は、女の子が何かの思いに耽って夜空をずっと眺めてるようなシーンが思い浮かぶんです。karinねーねーが言ったように、好きな人のことを思い浮かべたり、明日楽しみだなあと思ったり、少し悲しいことがあって明日からがんばろうと思ったりとか。一人一人の景色もありながら、芯のある女の子を描いた曲だと思います」

 そして、足りないものや欲しいものを求めるのではなく、いま身近にあるものこそが大切だと教えてくれるのが、彼女たちの地元愛を反映した楽曲“ユートピア”だ。まったりトロピカルなトラックに三線や沖縄の波の音を溶け込ませた、壮大かつ温かな雰囲気を纏ったサウンドが、普段の忙しない生活の中で忘れてしまいがちな気持ちを呼び起こしてくれる。

karin「歌詞はY.O.G.さんが、実際に沖縄の海で波の音を聴きながら書いてくださったんです。私たちはみんな地元愛が強くて、沖縄のことが本当に大好きなので。電車がないのは不便だけど(笑)」

hana「だけど沖縄は歩いてるだけでも楽しくて、そこに天気の良さも加わると、この景色を大切にしないといけないなって思えるんです。この曲の歌詞の通り〈足りない〉ものがあっても、それでも全然楽しく生きていけるし。大切なものが何なのか気付かないまま過ごしてしまうこともあるけど、それは高望みしなくても身近にあるんじゃないかな?ということを歌っていて。歌詞の意味が深くて、〈自分にとって大切なものは何だろう?〉と考えながら聴ける曲だと思います」

mion「mionにとって大切なものは、いまのこの環境ですね。このスタッフさんたちが集まってなかったらDNIが出来てなかったわけだし、もし誰かひとりでもダンスをやってなかったらこうしてこの3人が揃うこともなかったし、この環境自体が奇跡じゃないですか」

 そのように自分たちの大切なものを改めて振り返りつつ、アルバムを締め括るのはデビュー・シングルの“EVE -革命前夜-”。そう、彼女たちの革命はまだ始まったばかり。本人らも「まだまだスタート地点です」(mion)と語る通り、この『Devillmatic』を大きな足掛かりに、デビルたちの侵攻はこれからも続くことになりそうだ。

DEVIL NO IDのシングルを紹介。

 

『Devillmatic』に参加したアーティストの作品を一部紹介。

 

 


【おしらせ】

DEVIL NO ID 1st Album『Devillmatic』発売記念イヴェント
3月10日(日)12時〜@タワーレコード横浜ビブレ店/ 17時〜@タワーレコード池袋店
3月16日(土)15時〜@タワーレコード梅田NU茶屋町店(14:45集合)
詳細は〈http://devil-no-id.com/