Page 2 / 2 1ページ目から読む

それぞれの道を歩みはじめた元メンバーたち

 キップと袂を分かった後も、元メンバーたちが音楽自体に対する関心を失ったわけではなく……。とりわけカート・フェルドマンの精力的な動きには目を見張るものがあります。『The Echo Of Pleasure』にも参加しているジェン・ゴマ(ア・サニー・デイ・イン・グラスゴー)と組んだロマン・ア・クレではギターとベース、そしてアイス・クワイアでは歌でも才能を発揮。さらにダイヴやノー・ジョイらの作品を通じ、NYインディー界の名エンジニアとして徐々に認知されはじめていることも特筆すべきトピックでしょう。

 そのカートとペインズ結成前からデプレシエーション・ギルドで活動を共にし、彼がプロデュースしたアナマナグチの2013年作『Endless Fantasy』でもミキシングを担当しているクリストフ&アントン・ホーホハイム兄弟は、エイブルボディなるデュオ・プロジェクトの活動を本格化。LAに拠点を移して、アリエル・ピンク周辺人脈とネオAOR道を邁進中です。なお、クリストフはペインズの最新ツアーをサポートするとか。ちなみに、かつて鍵盤とコーラスでバンドに華を添えたドリュー・シトロンも、ソロ・ユニットのブレイヴァリーによる2016年作『The Blue Swell』でキップとコラボし、ペインズをガーリーにしたような清涼ギター・ポップを披露。何だかんだ言って、脱退組とキップはいまなおしっかり繋がっているようですね。 *山西