トラブルメーカーでハリウッドから干され気味であった俳優メル・ギブソン(以下メルギブ)は監督としても一級であるということをあらためて証明した10年ぶりの監督作品。第二次大戦の沖縄戦で一切の武器を持たず、1人で75名の命を救い続けた兵士デズモンド・ドスの実話の物語。話題の後半の戦闘シーンはメルギブお得意の地獄絵図(肉体破壊描写)にも目を見張るが、単調にならず工夫に溢れたシークエンスの連続から立ち上がるメルギブの活劇魂に痺れ燃える。前半の端正な演出がから導き出される後半の主人公の〈信仰〉による行動には、安易な共感をすら吹き飛ばす不思議な感動に包まれるだろう。