ジョナス・ブルーの“Perfect Stranger”に客演して広く知られることとなったマンチェスターの遅咲きシンガーによるデビュー・アルバム。その曲はいかにも夏向きのトロピカル・ハウスだったが、本人の音楽性はもっと哀愁のあるもの。ネオ・ソウルっぽくもあり、フォーキーでもあり、ブルージーでもある。ジェイムズ・ブラント似の鼻にかかった歌声が特徴的だ。もっとも、15歳の〈あの頃〉を思い出しつつ〈今〉の自分たちを歌った歌詞にグッとくる“September Song”でトロピカル風味がまぶされている通り、モダンなアレンジもときおり顔を出し、ポスト・エド・シーラン的なレーベルの狙いも感じられる。が、装飾なしでも心に刺さる詞曲を書ける点こそ、彼の最大の強みだろう。ストームジーの客演曲もあり。