インタビュー

THOUSAND EYES『DAY OF SALVATION』凄腕メロデス集団がより伝統的なメタルに接近することで切り拓いた新境地

THOUSAND EYES『DAY OF SALVATION』凄腕メロデス集団がより伝統的なメタルに接近することで切り拓いた新境地

国内メタル・シーンを支えるスペシャリストが集った宴は、美しいまでに悲しく、そしてどこまでも凶暴なり。これは救いの音楽なのか、それとも……

よりバンド感が強まってきた

 慟哭のギターと獰猛なスクリーム――THOUSAND EYESを象徴する2大要素はそれだ。つまり、KOUTA(ギター)とDOUGEN(ヴォーカル)の組み合わせが彼らの核だと言えるだろう。このバンドが誕生したのは2011年10月。LIGHTNINGなどでの活動歴を持つKOUTAが、DOUGEN(並行してUNDEAD CORPORATIONやAFTERZEROでも活動中)と意気投合したことからすべては始まった。そこに国内エクストリーム・メタルの先駆的な存在であるYOUTHQUAKE(2013年に解散)のベーシスト、AKIRAが合流。彼はVOLCANOにも籍を置いているし、TORU(ギター)はTEARS OF TRAGEDYを率い、FUMIYA(ドラムス)はGALNERYUSやUNLUCKY MORPHEUSにも名を連ねている。こうした複数の肩書きを持つミュージシャンの集合体である事実から、流動的なプロジェクトと見られることも少なくないTHOUSAND EYESだが、いま現在、スペシャリストたちの集結によるこの〈場所〉が、よりバンド然とした成り立ちになっているのは間違いない。

 「過去の2作品に比べると、KOUTAと2人で話し合いながら作ったヴォーカル・パートが圧倒的に増え、演奏とヴォーカルのマッチングがより良くなってきた。そういう意味では一体感、バンド感といったものが強まってきたし、お互いの密な関係をこの音から感じ取ってもらえたら嬉しい」(DOUGEN)。

 「メンバー同士の関係性という意味では、まず僕が曲作りの中心にいて、細かい箇所をそれぞれのスペシャリストに相談するという形だし、それはいままでとまったく同じ。例えば音楽理論的な部分で迷ったりすることがあれば、TORUに声をかける。曲のアイデアが出てくると、まずDOUGENに渡し、彼の歌が入った状態のデモを他のメンバーたちに聴かせ、そこで意見をもらいながら頷けるものは反映させていく。ヴォーカルについて言うと、ファースト・アルバム『BLOODY EMPIRE』は勢いだけで録ってしまっていたところがあったけれども、こうして作品を重ねていくと〈同じようなことを前にもやったよね?〉という部分が出てくる。そこで過去の曲とどうやって差をつけ、どうクォリティーを高めていくか――今回の鍵はそれだった。だからこそ、曲を作っては捨て、また作っては捨て……という作業を繰り返しました」(KOUTA)。

THOUSAND EYES 『DAY OF SALVATION』 BLOODY EMPIRE(2018)

 果たして、このたびのサード・アルバム『DAY OF SALVATION』は、何よりも楽曲そのものの完成度によってまず評価されるべき仕上がりとなった。彼らの音楽スタイルはいわゆるメロディック・デス・メタルということになるが、速い曲以外にも光るものが存分にあり、少なくとも狭苦しいジャンル感に埋没するような作品にはなっていない。実際、本人たちにもそうした実感はあるようだ。

 「これまでは〈メロデス〉という括りで語られることが多かったし、いまでもそれはあるけれど、より伝統的で王道的なメタルに近付いた感触があるし、純粋に〈良いメタル・アルバムを作れた〉という実感がある。しかも、狙ってそういうものになったわけではなく」(DOUGEN)。

 「ファースト・アルバムでは持っているものすべてを詰め込んだという満足感があったのに対し、いろんなことを考えながら作ったセカンド・アルバム『Endless Nightmare』には生みの苦しみがあった。今回はファースト完成時の感覚を呼び戻したいと思って、余計なことは一切考えず、とにかく納得のできる曲を揃えようという姿勢で臨んでいて。誰しもそうだろうけども、僕は捨て曲のないアルバムが好きなんです。メタルの名盤とされるものの中にも、物凄いキラー・チューンの狭間に飛ばしたくなるような曲、繋ぎの曲が続いているものって実は少なくないじゃないですか? そうじゃなくて、1曲も聴き漏らすことを許さないような隙のない作品にしたかった」(KOUTA)。

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