独特のエクストリームかつメロディックなメタルサウンドを進化させてきた、東京のTHOUSAND EYES。2018年に発表したアルバム『DAY OF SALVATION』がオリコンランキングで25位を記録するという、この類の音楽性のアーティストとしては異例のチャートアクションを示すなど、作品を重ねるごとに、着実にファンベースを築き上げてきた彼らが、去る7月20日に約4年ぶりとなる新作『BETRAYER』をリリースした。本作では再び強靭な音塊を叩き付けながら、THOUSAND EYESならではのメタルの核心を改めて際立たせる。タイトルに冠された〈裏切り者〉とは何を意味するのか? メンバー自身が〈最高傑作〉と口にする本作について、KOUTA(ギター)とDOUGEN(ボーカル)に話を訊いた。
期待を裏切る恐怖心が生んだ〈BETRAYER〉というコンセプト
――前作『DAY OF SALVATION』が得た良好なチャートアクションは、言い換えれば、バンドの名前が確実に広まっていた証でもあると思います。今はどのような作品だったと振り返りますか?
DOUGEN「リリースした当時のインタビューで、音質、曲、パフォーマンスなどに関して、ここまでの作品を作ってしまったら、次はどうしようみたいなことをKOUTAが言ってたんですが、振り返ってみると、ボーカルにおける方法論も含めて、あそこまでの一つの到達点だったのかなぁと思います。メタリカにおける『Master Of Puppets』じゃないですけど、あそこで〈千眼流〉みたいなものが完璧に確立されたんじゃないかなと」
KOUTA「あの当時としては到達点だと思ったんですけど、単に通過点だったんだなって今は思えるんですね」
――つまり、それは新作に関する自信の表れですね。
KOUTA「そうですね。その延長線上に、さらに突き詰められる作品が生まれたというのが、やっぱ大きいと思います」
――その『BETRAYER』は、どんな構想の下に生まれたのでしょう?
KOUTA「そうですね。まず考えてたのは、到達点を作り上げることができた前作に続くアルバムで、まったく同じことをやったら飽きられるかもしれないし、全然違うことをやれば、こういうものは求めていないと言われるかもしれない。つまり、どちらの道を選択しても、ファンの期待を裏切る結果になるんじゃないかなって。そんな恐怖心がヒントになって、〈BETRAYER〉というコンセプト/タイトルにしようと決めたんですね。なので、〈BETRAYER〉とは、まず自分自身のことだと考えたんです」
――つまり、どう転んでも裏切ることになるのだと。
KOUTA「はい。当初は、たとえば1曲目は、全然ギターソロとかも入っていないようなブルータルな曲で始めたりとか、ちょっと奇をてらったというか、今までにやってなかったことをやってみようかなとも思ってたんです。でも、そう思って曲作りを進めても、あまり納得のいく曲ができなかったんですよ。
そこでいろんな人と話したりしていく中で、イングヴェイ・マルムスティーンみたいに、周りを気にせず、自分が納得ができるクォリティーのものをリリースすればいいんじゃないかなって、ちょっと開き直ったところがあって。そこからは思いつくままに作曲を進めようと方向性を決めたんです」