ジャンルを超えて精力的に活動しているジョン・健・ヌッツォ(テノール)。2016年7月に紀尾井ホールで行われたライヴからの最新アルバム。1曲目の《ベッリーニ:フィリッデの悲しげな姿よ》で一気に心を奪われる艶やかな歌声。イタリア歌曲でありながら、まるでオペラを観劇しているかのような気分にさせられるドラマティックな表現力。これを聴いていると、彼という人はスタジオ録音よりもライヴ録音のほうが向いているようで、これだけ伸び伸びと歌い自由でありながらも、ほどよく抑制が効いていることで決して大雑把に聴こえない繊細さ。コンサートに足を運び体感したくなる魅力満載。