試聴音源に触れてから限りなく聴いてきた、これはすでに名盤だ。レスター系の趣を持ったテナーが淡々と語り、光る音を放つピアノとの見事なまでのコラボレイション、ベースも含めてその成熟度は驚きだ。音の隙間が3人の見事なまでの一体感によって埋められていく過程が聴く者を深く惹きこむだろう。冒頭曲だけでそうしたジャズが好きな方にはこの作品が理解できるだろう。“歌詞を歌えるサックス”はなかなか少ない。イオナがその域にあるとは驚きだ。いい意味で歌い放題、話し放題の3人だ。スタン・ゲッツ=ケニー・バロンで有名な④も、ダイアナ・クラールの声が浮かぶ①も含めて全曲外れなしだ。