ジャズ評論の重鎮瀬川昌久氏は大正13年(1924年)生まれ。この2枚組のCDに収められた楽曲は昭和8年(1933年=参考:渡辺貞夫の生年)から昭和28年(1953年=参考:渡辺香津美の生年)までの流行歌で、瀬川氏は自身が9歳~29歳の頃に聴き親しんだヒット・ソングということになる。誰しも20代までに聴き馴染んだ歌はその後もそんなに簡単に忘れられるものではなく、その歌詞までリアルに口に出てきて歌えるものが多かったりする。川畑文子、淡谷のり子、二葉あき子、高峰三枝子、李香蘭らの歌声が時に軽快、時に牧歌的なオケとともに昭和初期~戦後の空気をノスタルジックに伝えてくれる。