ジャズ評論の重鎮、瀬川昌久氏は人生90年、ジャズという“旅”を続けてきた。この自選著作集は1954年から2014年の60年間の“リアル体験”が元になったものであり、後追いでは得られない深い考察も多々伺える。50年代、真夜中のカーネギーホールで見たパーカー、ガレスピーらのヴィヴィッドなプレイ。クロード・ソーンヒルとギル・エヴァンス、そしてビッグバンド・ジャズの詳細な系譜。日本のジャズ史においては大正時代を起点に昭和の秋吉敏子、ナベサダを経て、平成の90年代のアコースティック・ジャズ隆盛の様相等々。熱い想いで時代のムーヴメントを真摯に見つめてきた記録でもある。