TOKYO FMで毎週金曜の27~29時に放送中の番組「RADIO DRAGON-NEXT-」。モデルやブランド・ディレクター/デザイナーなどマルチに活躍し、音楽への造詣も深いことで知られる菅野結以がパーソナリティーを務める同番組は、〈すべての音楽の登竜門〉をコンセプトに2010年にスタート。以降リニューアルをしながらも独自の視点で主に国内のフレッシュな音楽を紹介し続けきた人気番組だ。

その番組内のコーナー〈Monthly Disc〉で11月の顔となっているのが、plentyの元ヴォ―カリスト/ギタリストであり、11月7日に初のソロ作『#1』を発表した江沼郁弥。Mikikiでは、コーナーで放送された江沼のトークの完全版をテキストにて独占公開中! オンエアされたトークはもちろん、泣く泣くカットされた発言もすべて公開しているので、ラジオと共に毎週必ずチェックしてほしい。では、11月23日に放送された第4週目のトークをお楽しみください! *Mikiki編集部

Monthly Disc:江沼郁弥(第4回/11月23日放送分)

TOKYO FM「RADIO DRAGON-NEXT-」をお聞きのみなさん、菅野結以さん。こんばんは、江沼郁弥です。

今月11月7日にファースト・フル・アルバム『#1』をリリースしまして、この「RADIO DRAGON-NEXT-」で1か月間特集してもらってるわけですけど、このアルバムの(音楽的な)ジャンルというと様々で、いろんな曲が収録されているんです。『#1』はCD屋さんに並ぶとき、どういったジャンルのコーナーに並ぶんでしょうね?

 

――plenty解散後の活動してなかった一年間、どんな音楽を聴いてた?

マインドデザインとか、フライング・ロータス、あとハイプ・ウィリアムスとか、ジャンルで言うとヒップホップ? エレクトロニカ? オルタナティヴ?みたいなところかな。(『#1』は)そこからの影響もあると思います。

で、そういうアーティストの音楽を、最近聴きはじめたのかと言うと、そうでもなくて。ずっといろんなジャンルの音楽が好きで聴いてたんですけど、前はバンドだったのでなかなか……作曲者だったとはいえ、そういったカラーがバンドの音楽に色濃く出ることは、あまりなかったです。

最近だと、セン・モリモトという人がいて。影響を受けたというのとはまた別なんですけど、〈めちゃくちゃカッケーな〉と思って、けっこう聴いてますね。みんなそうだと思うんですけど、自分の中でもひとつのジャンルだけではなくいろんな音楽がごった返してるので、『#1』では特に、そういう縛りを設けないことは自分の中の約束事でした。自然に出てくるものを表現していくというか。ごちゃごちゃのものはごちゃごちゃのままで。

『#1』はこういう内容になったけど、次作は全然違うことになってるかもしれないです。自分の中で計画して〈こういうふうになりたい〉とカッチリ決まってるわけじゃないけど、ある程度は〈こういうふうになりたいな〉というのはありますね。でも一方ではシンプルに楽しんでやりたいなって気持ちもあるので、その都度いろんなものをいろんなように、自分自身も聴いてくれる人も楽しんでやれたらいいなというスタンスではいます。そしてもちろん一生懸命やりたいとも思ってますね。

 

――アルバムを作るうえでのモチヴェーション

作ってるときのモチヴェーションどうのこうのと言うよりは、終わってみてリラックスしたというかピュアにというか、そういう感じで作品作りができたのが良かったし、重要だったですね。8年くらいバンドで活動してて、脳みそに脂肪がついてるというか、凝り固まってるというのかな。曲の作り方とかがある程度出来上がっていた中で、こういうふうにまた自由に、縛られないで、楽しみながらできたというのが自分にとってはすごく良かった。まあ、そう仕向けたところもあるんですけど。全部自宅と事務所とで作業して、リラックスした状態で自分の気に入ったテイクを重ねていくという。それが重要だったと思ってる感じ……伝わるかなあ(笑)?

(オフィシャルの)ロゴが脳みそなのは、半田(淳也)さんというデザインしてくれた人がメタファーって言ってましたよ。〈音楽を感じるとか、感性とか、心地いいとか、そういうもののメタファーが脳みそだ〉と。〈だから郁弥の音楽もそうなんだ〉と。半田さんはよく会ったりもしているので、いろいろ共有できている気がします。このロゴも、僕が普段話していたことから抽出して作ってくれたんだと思います。

 

江沼郁弥 #1 1994 Co.Ltd.(2018)

『#1』から“光源”をお送りしましたが、この曲は自分の意思表明でもあるんです。僕、素晴らしいものを見たときとか感動したときに、(その作り手から)どこか突き放されている感じがするんですね。もちろん心地いい感じで、イヤな感じではないんですけど。ライヴとか絵、映画、写真とか芸術をやってる人と、すごく距離を感じる。それが好きなんです。やっぱりすごいものを作る人は、そういう特別な存在でなきゃいけないんじゃないかって思うんですけど、“光源”ではそういうことを歌ってます。ソロでやっていく意思表明というのかな。

別に突き放したいわけじゃないんですけど、でも、人前でやる以上、ひとつ高いところに立っていたい。それは偉いとかじゃなくて、責任があるということを自覚しておきたいというか。自分としてもキュッとなりますよ、〈しっかりしなきゃな〉と。自分が憧れるものや目指すものって、突き抜けているものだなあって日々思うので、自分もそうなろう、という想いを書いた曲なんです。

では、また来週。江沼でした。

 


★本トークはコチラから、オンエア日より1週間聴くことができます★

TOKYO FM「RADIO DRAGON-NEXT-」は毎週金曜日27時~29時に放送中。
※TS ONE(全国聴取可)にて毎週土曜日20時~22時で再放送有り。
https://www.tfm.co.jp/dragon/

 


Profile:江沼郁弥(エヌマ フミヤ
88年9月24日生まれ、茨城出身のシンガー・ソングライター。2004年に地元の同級生と共にロック・バンド、plentyを結成し、ヴォーカル/ギターを担当。2008年に上京、翌年にミニ・アルバム『拝啓。皆さま』でCDデビュー。2017年9月の日比谷野外大音楽堂公演をもって解散。翌2018年9月よりソロ活動を開始し、限定盤EP『Prototype EP』を発表。2018年11月7日にファースト・アルバム『#1』をリリース。

〈LIVE #1”〉
2019年1月15日(火)愛知・名古屋CLUB QUATTRO
2019年1月16日(水)大阪・梅田CLUB QUATTRO
2019年1月23日(水)東京・渋谷WWW X
2019年1月24日(木)東京・渋谷WWW X
★ライヴ情報の詳細はこちら