シャバカ・ハッチングスらとのサンズ・オブ・ケメットで名門インパルスデビューも果たしたチューバ奏者、テオン・クロスの自主でのEPを除くと初ソロ作。南ロンドンシーンの有機的なパーソネル構成の例に漏れず、シーンの中核モーゼス・ボイドとヌビア・ガルシアも参加し、サンズ~とも地続きのアフロビートを軸としたグルーヴィな演奏。同胞との共演に肩肘張る感じもなく、無駄なギミックも用いず、驚く程簡素な音響処理だが、それが余計にチューバが低音とメロディを同時に司る驚異の楽器だという事実を突き付ける。鋭い鈍器という矛盾した凶器で打たれ続けているようで足元がグラつく程の衝撃。