内田匡俊(ベース)の加入で4人組となった名古屋発のロック・バンドが、新体制後の初音源として放つミニ・アルバム。代表曲“アウトフォーカス”以降、腹を括った言葉の光る楽曲が際立っていて、〈ムカつく奴の話で盛り上がる電車の中の学生たち〉を見て在りし日の自分を省みる“101分の1の本音”など、現実から目を背けない姿勢に好感が持てる。ブラスやピアノを効果的に用いていたり、アレンジも厚みを増した。
2017年の2作目『発見と疑問』収録曲“アウトフォーカス”が大きな話題を呼んだバンドが、新体制になり送り出すミニ作。テクニカルな演奏技術とヴォーカル、鬼頭大晴のシャキシャキとした通る歌声で、タイトルの通りサラッと現実を突き付けてくるのが痛快。悩めるあなたに。
4人体制になって初のミニ・アルバムを送り出すHalf time Old。本作はいままで以上に、幸も不幸も、毒も光も抱えて〈生きる〉ことが高らかに鳴らされている。印象的なギター・リフで始まるリード曲“アナザーロード”は、〈どれだけ救いがなくたって/僕らは生きなきゃいけなくてさ〉と冒頭から現実を突きつける。世の中への皮肉を畳みかけるダークサイドな“狐と鴨”。ポップで可愛らしいサウンドとは裏腹に、現代的で人間的な感情が見え隠れする“マッシュルームソング”。“愛の真ん中”では、身動きの取れない自分に情けなさを抱きつつも、じんわりとした温かな光を感じさせてくれる。悲しみも喜びも醜さも、すべてないまぜにして生きている、どこまでも人間らしい姿が、そこにはある。彼らが送りつけてきた〈現実〉は、胸をチクチクとさせつつも、ギュッと抱きしめたくなるような愛しさをはらんでいる。