インタビュー

大江千里『Hmmm』 ひとりじゃないって素敵なこと。NYの音楽家との初ピアノ・トリオ作を語る

大江千里『Hmmm』 ひとりじゃないって素敵なこと。NYの音楽家との初ピアノ・トリオ作を語る

初のピアノ・トリオ・アルバム! 新たなゾーンに入った大江千里

 2008年ニューヨークに渡り、ジャズ・ピアニストに転身してから10余年。大江千里が9月4日に発表した新作『Hmmm』は、ピアニストにとっての王道とも言うべきピアノ・トリオ・アルバム。6作目にして初の作品だ。

大江千里 Hmmm Sony Music Direct(2019)

 「確かに今までトリオ作品を手掛けていませんでした。ニューヨークはピアニストの層が大変に厚く、幅広く取り上げられているトリオを敢えてやらないというのが、この土地で独自性を出していくための選択だったんです。チャレンジへのきっかけになったのは、昨2018年にリリースした作品『Boys & Girls』。僕のポップス時代のオリジナル曲をジャズのソロ・ピアノで表現したアルバムを発表し、そのツアーをアメリカで続けていくうちに自分の中に確信のようなものが芽生えたんです。『このスタンスを延長させれば自分らしいトリオができる』と」。

 大江が語るように『Hmmm』には、彼らしいキャッチーなメロディと、アリ・ホーニグ(ds)&マット・クロージー(b)というニューヨークのトップ・ミュージシャンが生み出す多彩なリズムが一体になった新しいテイストの演奏が溢れており、これまでのピアノ・トリオとは異なる楽しさを生み出している。

 「意識したのは“Senri Jazz”。他の誰もやってない、僕にしかできないジャズです。その原動力になっているのはアリとマットのふたり。スウィングとハウス系、ロックを組み合わせたような独特なビートもこのメンバーだからこそ。立ち位置はジャズなんだけど、どんな音楽、どんな素材でも面白く料理しちゃうぞみたいな感覚です。アリの凄いところは、変拍子やトリッキーな構成の曲でも演奏自体が“歌”として完成しているところ。本当に歌心が豊かです。マットの素晴らしい点は、絶対にジャズのテイストを失わない信頼感。それでいてプレイはとてもファンキーなんです。このふたりと演奏していると、喜びと快感が体の奥底から湧いてきて、無我夢中で演奏してしまうんです。

やはりソロとは違いますね。『ひとりじゃないって素敵なことね』そんな気持ちです(笑)。今後しばらくはこのトリオを続けていきます。11月には西海岸でこのトリオのお披露目をしますし、2020年になったらワシントンDC、そして日本にも行く予定です。現在、アメリカ生活11年目というわけですが、最近になって思うのは、これまでの10年という歳月は、ここまでの助走だったのではないかということ。初めて自分本来の音楽が始まっているのかなと思えるような感覚が出てきました」。新たなゾーンに入った大江。彼の音楽はまだまだ発展していきそうだ。

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