“ジャズ・ピアニストSenri Oe” 最新作はヴォーカル・アルバム
現在NYを拠点に活躍するジャズ・ピアニスト大江千里。4作目となる最新作 『answer july』をリリースし、この9月には東京JAZZにも出演、その後も熊本でライヴ、11月にはブルーノート東京での公演等多忙なスケジュールの真っただ中だ。
80年代、シンガー・ソングライターとして《十人十色》《格好悪いふられ方》などのヒットを放ち、女子大生、OLに絶大な人気を誇り(自分は当時学園祭のライヴに行ったことがあるが、まわりは本当に女子だらけだった!)、NHK『トップランナー』ではその名司会ぶりとトークで多くのファン層を獲得し、ラジオのパーソナリティとしても活躍するなど、ミュージシャンにとどまることのない活動の幅を広げながらも、日本国内での活動休止宣言の後、2008年ジャズを学ぶために単身渡米。2012年に卒業した、4年半通ったNYのジャズ学校での体験は昨年出版された本人の著書『9番目の音を探して 47歳からのニューヨークジャズ留学』に詳しく書かれていて、“ジャズ・ピアニストSenri Oe”の成長過程と充実した音楽生活を知ることができて興味深い。
さて、最新作『answer july』は過去3作ある大江自身のジャズ・アルバムと大きく違っている点は“ヴォーカル・アルバム”である点だ。といっても大江自身が歌っているわけでなく、ベテランから実力派まで数人のヴォーカリストを迎えた全曲オリジナルによる意欲作となっている。その一人、今年88歳を迎える女性ジャズ・シンガー、シーラ・ジョーダンは過去に東京JAZZでも大江と共演しており、大江が多大にリスペクトしている存在。その他、NYで注目を集めている女性シンガー、ベッカ・スティーヴンスに加え、ローレン・キンハン、セオ・ブレックマンら異色な顔ぶれも参加、作詞にはジョン・ヘンドリクスのクレジットもあり。これぞ大江流NYジャズ・ヴォーカルの醍醐味。