『ポエトリー アグネスの詩』以来8年ぶりとなるイ・チャンドンの新作。村上春樹の短編小説『納屋を焼く』の映画化ではあるが、村上原作の更に元ネタであるフォークナーの小説の世界観に寄せて大胆に脚色。何気ないセリフにまで仕込まれた隠喩の洪水! その解釈に観客の脳はフルスロットルだ! それが単なる“頭でっかち”で終わらないところこそ本作の肝でありイ・チャンドンの凄みである。例えば、“持たざる者”である主人公が“持つ者”である金持ち青年への殺意を抱く“何だか不愉快”な欠伸シーン! この“ 何だか不愉快”さ加減が絶品! 是非ご堪能あれ!