安斉かれんが、サード・シングル『人生は戦場だ』をタワーレコード限定で無料8cmシングルでをリリース。これを記念して、タワーレコードではフリーマガジン〈TOWER PLUS+〉の臨時増刊号〈別冊TOWER PLUS+〉を発行いたします! ここでは中面に掲載されたインタヴューを転載。別冊TOWER PLUS+は、タワーレコード全店にて配布中!
※タワーレコードオンラインは除きます。※別冊TOWER PLUS+は無くなり次第終了となります。※天候や交通事情により配布が遅れる場合がございます。
〈「頑張れ」は嫌い、「優しさ」も怖い〉
〈「愛」なんて知らない、「笑う」のも痛い〉
安斉かれんが10月1日にサード・シングル『人生は戦場だ』をリリースした。デビュー曲“世界の全て敵に感じて孤独さえ愛していた”、2ndシングル“誰かの来世の夢でもいい”と同様、作詞は安斉自身が手掛けている。
「今までの歌詞に関しては、書き溜めているメモの中から曲に合ったフレーズを組み合わせて書いていくという形だったんですよ。でも、今回は曲を聴いた瞬間、強烈なインスピレーションを受けて一気に書いていきました。本当に感情だけで書いた感じだったので、たぶん5分くらいで書き終えたと思います」
少ない音数で静かに始まり、2コーラス目からダイナミックな展開を見せる“人生は戦場だ”。その流れが安斉の感性を刺激したらしい。
「初めて聴いたとき、1コーラス目のメロディがささやきみたいだなって思ったんですよ。それに対して2コーラス目からは、メロディもどんどん盛り上がっていくので、1コーラス目の歌詞はひとりごとみたいな感じにして、2コーラス目は自分の中から生まれて来た決意という感じで2つに分けて書いてみました。結果、2コーラス目の歌詞は、ちょっと強気になっちゃいました(笑)」
タイトルからして、とてもインパクトがある楽曲だが、さらに歌詞の中には〈「頑張れ」は嫌い〉〈「優しさ」も怖い〉というフレーズも存在。そこには自分の夢を追う中での葛藤や恐れが描かれており、安斉の歌声と相まって、聴く者の胸に鋭く迫ってくる。
「この曲を書いたのはデビュー前だったんです。デビューに向けて学校を転校したりしたこともあって、何も知らない世界のなかで、私はひとりぼっちだなって思っていて。そんな状態で〈頑張れ〉って言われたり、優しくされたりしても、誰も本当のことはわからないだろうなぁ、と思ってしまったりして、結構辛かったんです。そんなときに出会ったのが、この曲。当時の私に本当にピッタリだったので、素直な思いをぶつけました」
10代の安斉にとって、住み慣れた環境を離れ、アーティストとしての道に飛び込むことがどれほどの重圧だったかは想像に難くない。これから自分はどうなるのか? この決断は間違っていないのか? そんな迷いや不安をストレートに歌詞にすることは、安斉にとって、ひとつの浄化にもなったようだ。
「正直言うと、最初は私に作詞なんて出来るのかな?って思っていたんです。でも、実際に書き始めてみたら、どんどん楽しくなっていった。人に話せないことも全部歌詞にしちゃえばいいので。しかも、そうやって文章にしてみると、すごくスッキリするし、自分が考えていることもわかるんです。だから、“人生は戦場だ”も2コーラス目は前向きになってます。誰も知らなくていい、自分で決めたことなんだからやるしかない!っていうところにたどり着けました」
自分が書いた歌詞を歌っているというのもあるのだろう。歌に関してもいま心がけているのは〈飾り過ぎないこと〉だという。
「例えば、ここはビブラートを利かせよう!みたいに考えて歌ったりはしないです。歌詞から思い浮かぶ感情を、ただ素直に歌う。自分のなかから出て来ちゃったものをそのまま歌に乗せるだけですね。歌詞も歌も、そのときにしか出せないものってあると思うんですよ。だから、それを残したいんです」
“世界の全て敵に感じて孤独さえ愛していた”に始まる3部作は、全て安斉が10代のときに制作されたもの。それだけにそこには青春の葛藤や苦悩が色濃く表現されており、彼女と同年代のリスナーの中には自分のことのように感じる人も多いはずだ。だが、「別に同年代の若者の代弁者でありたいと思って書いているのではない」と安斉は言う。
「さっきも〈そのときにしか出せないものを出したい〉ってお話しましたけど、私自身は、ただただ自分なりに書いているだけ。でも、例えば“人生は戦場だ”の歌詞のような新しいことを始めるときの怖さって誰にでもあるはず。だから、同じような悩みを抱えた人が共感してくれたら嬉しいなとは思っています」
今回の“人生は戦場だ”でデビューからの3部作は完結。3作作り終えてみて安斉が感じたのは、楽曲の世界観の捉え方は、とてつもなく広いということだそうだ。
「デビューからの3作、歌詞はダウナーな感じが強いんですよ。MVの世界観も近未来の仮想空間に再生されたバーチャルな存在と自分を見失いそうになる恐怖とか、未来への不安な気持ちとの戦いを描いているんです。自分が考えていたのとは全然違っていたんですけど、それがおもしろかったんです。そう考えると、解釈の仕方って無限。だから、このMV3作を作ったことで、私も固定概念みたいなものを失くして、どんどん挑戦していこう!って思うようになりました。自分が思っていることだけじゃなく、いろいろなことを吸収したほうが世界が広っていきますからね」
2019年に産声を上げた〈アーティスト・安斉かれん〉。3部作の完結と共に、彼女の本格的な活動がスタートする。迷いや恐れを乗り越え、この道で生きていくことを決めた安斉。それだけに、彼女の興味は様々なフィールドへと広がっているようだ。
「遥か未来のことは考えていないんですけど、いまはいろんなことに挑戦し続けて自分の幅を広げたいと思っていますね。例えば演技や英会話。やってみたら新しいことを発見できる気がしますし、どちらも結果的に音楽につながると思いますから。もちろんライヴもやりたい。私の曲を聴いてくれる方と直接会うことは、絶対刺激になると思います。それにライヴをやるとなったら、ポップな楽曲も必要。今回の3部作からは想像できないかもしれないですけど、実は明るい歌詞も書いたりしてるんです(笑)。いまはまだ、今後の私から何が生まれてくるのか自分でもわからない。でも、だからこそすごく楽しみです」