安斉かれんが、ダブルA面12cm無料シングル『僕らは強くなれる。』『GAL-TRAP』をタワーレコード限定でリリースすることを記念して、タワーレコードではフリーマガジン〈TOWER PLUS+〉の臨時増刊号〈別冊TOWER PLUS+〉をダブル表紙で発行! ここでは中面に掲載されているインタビューを掲載いたします。
※タワーレコードオンラインは除きます。※別冊TOWER PLUS+は無くなり次第終了となります。※天候や交通事情により配布が遅れる場合がございます。

安斉かれん 『僕らは強くなれる。』 avex trax(2020)

安斉かれん 『GAL-TRAP』 avex trax(2020)

新型コロナによって緊急事態宣言が発令、ライブやコンサートがことごとく中止を強いられ、すべてのアーティストがこれまで通り活動できなくなってしまった2020年の音楽業界。そんな暗雲立ち込める状況下でも、日本中に笑顔を与え続けたドラマがあった。SNS上での反響の大きさで言えば、今年最大の注目作になったとも言える(Twitterの世界トレンドでTOP3入りの快挙!)。その作品の名は「M 愛すべき人がいて」。エイベックスを代表する歌姫・浜崎あゆみのスターダムへと駆け上がるシンデレラ・ストーリーがモチーフとなった同名小説原作の物語で、主人公アユ役を演じた安斉かれんにも注目が集まった。

「地元でも知らない方から声を掛けられるようになって、でも、自分自身は何かがそんなに変わった感覚もないから、そのギャップがすごく不思議です(笑)。ただ、去年のデビュー・イヤーの時点では考えられないぐらい、たくさんのファンの方が応援してくれているのは、すごく嬉しいです。私のMVの衣装とお揃いのファッションに身を包んでくれたり、私の誕生日にファンの子たちが集まってお祝いの動画を作ってくれたりするので、めっちゃ元気をもらえるんです! そういう状況を生んで頂いた『M 愛すべき人がいて』には感謝しています」

そんな「M 愛すべき人がいて」を経て、安斉かれんはダブルA面シングル『僕らは強くなれる。』『GAL-TRAP』を無料リリース。幼い頃に父親に連れられて観に行ったザ・ローリング・ストーンズのライブで音楽に目覚め、そこで聴いたサックス奏者の演奏に憧れて吹奏楽部に入り、のちに音楽業界で活動する上でのエピソード・ゼロを構築した彼女だが、今回の“僕らは強くなれる。”では京都橘高校吹奏楽部との共演が実現。自らもサックスを奏で、ミュージックビデオではド迫力のコラボアクトを繰り広げている。

「サックスは、私が音楽をお仕事にする前からずっと演奏していた楽器。それを自身の作品で演奏させて頂けたことは有難いですし、何より楽しかったです。“僕らは強くなれる。”の歌詞は高校2年生のときに書いたものなんですけど、中学の吹奏楽部時代とかを振り返りながら書いていたら、自然と応援歌になっていたんです。――〈僕〉ではなく〈僕ら〉にしたのは、部活で例えれば、大会で結果を出す為に頑張っている方々はもちろんなんですけど、彼らを応援しているマネージャーさんや家族のみんな、まわりで支えている人たちも同じくらい応援できたらな、って思ったからなんです。応援される側も、応援する側も鼓舞できるようなメッセージになってくれたらなと思っていて。そういった楽曲をリリースするのであれば〈ブラスバンドを入れたい〉とお話しさせて頂いたんですけど、今回参加して下さった京都橘高校吹奏楽部は、私が吹奏楽をやっていたときから憧れの存在だったんです。皆さん、踊りながら演奏するエンターテイナーなので、その輪の中に入って演奏できるなんてとても光栄だったし、本当に楽しかったです」

〈2020年夏季高校野球 都道府県別大会テーマソング〉にもなった“僕らは強くなれる。”は、安斉自身の性格や価値観が人間味溢れるカタチで表現されている。京都橘高校吹奏楽部とのコラボレーションがそうであったように、彼女は人と人の繋がりを求め、何かを共に生み出していくのが好きだ。ゆえに光を一方向に向けるのではなく、この曲で全方位に届けたかったのであろう。

一方“GAL-TRAP”は、これまでの90’sリヴァイヴァル感溢れる楽曲群とは打って変わり、Diploのリミックスなどを手掛けるRadical Hardcore Cliqueサウンド・プロデュースのもと、安斉かれん自身も作詞だけでなく作曲・プロデュースに初参加した、近年トレンドのチルなHip Hopをガーリーポップに昇華してみせたようなベッドルーム・ミュージック。彼女の自然体のオリジナリティに驚かされるナンバーだ。

「夜、家に帰ってからひとりでフワフワ考えている時間ってあるじゃないですか。そのイメージを音楽化したのが“GAL-TRAP”。すごく落ち込んじゃっているわけでもないし、誰に相談するわけでもないし、眠る前のひとりごとみたいな感覚でボーっと何かを考えている、部屋の中のひとりの時間、限りなく素の自分。それを表現する為に、両手の爪をぶつけ合って鳴らすっていう一人の時についやってしまうクセを、そのままトラックに入れたりもしているんです。今回、作曲に初めて参加させて頂いたんですけど、とにかく楽しく作りたいなと思っていて。そしたら、こういう新しいタイプの楽曲が生まれたので、これからもどんどん挑戦していきたいです」

デビューから約1年。当初は「本当に実在するのか?」など無機質なイメージも持たれていたが、対極に位置する音楽ジャンルのどちらをも自分らしく表現してみせた今作『僕らは強くなれる。』『GAL-TRAP』が物語っているように、何事にも純粋無垢に等身大で挑戦していく、実に人間味溢れるアーティストへと成長した。

「良い意味で、そのときそのときの気分に流されまくりたいなと思います。それは歌詞にも活きていくと思うんです。変に背伸びすることなく、等身大の自分を表現していきたい。この1年で〈それがいちばん自分らしいのかな〉と思ったんですよね。私〈ここは自分を出しすぎるべきじゃない。いや、今、出すべきだ〉みたいな駆け引きが苦手なんです(笑)。であれば、まわりのことを信用して、自分を思いっきり出したい。なので、歌いたいと思った音楽を歌って、書きたいと思ったことを歌詞にして、そうすればジャンルの幅もどんどん広がっていくだろうし、私はずっとずっと〈安斉かれん=等身大の自分〉で生きていきたいです」