イスラエルジャズにおいて、最も革新的な表現を究めているのがこのピアニストだろう。ベースのアヴィシャイ・コーエンとの共演でも知られるが、現在はソロ作や、タイム・グルーヴへの参加などバターリング・トリオのリジョイサーとの共謀により表現の地平を切り拓く。そんな彼の初トリオ作も例に漏れずリジョイサー・プロデュース。リリカルなタッチと民族的リズムをアコースティックに、徹するのかと思いきやフォーマットを固定しつつシンセなどエレクトリックな音色による彩りにも遠慮がない。イスラエリのアイデンティティと越境的野心を矢継ぎ早に繰り出す。伝統と革新への姿勢はメルドー的でもあり。