一寸先は大豆の水煮!

――ところで、お二人はなんで顔を隠してるんですか?

こしあん子「それもさっきの話に通じるんですけど、顏って情報的に邪魔だと思うんです。平凡なテーマを取り上げてるし、〈こんな人がやってるんだ〉っていうのは要らないなって。匿名性が高いほうがいいよね」

もちこめ子「そのほうが何でもやれる気がするし」

――ユニットのリーダーとか、活動する時の言い出しっぺとかはいるんですか?

こしあん子「考えたこともないね。意見が食い違うこともないし」

もちこめ子「もち米とあんこだからねえ。いつも一緒にくっついてるから」

こしあん子「たしかに。おはぎで・食い違ってる・場合じゃないよ。でも、私は曲に関しては口を出さないようにしてます。〈ここは転調します〉〈はい!〉みたいに」

もちこめ子「すぐ転調させちゃうからね(笑)。私も歌詞に関しては何も言わないです。信頼してるし、そもそもあんこちゃんの書く歌詞がおもしろいじゃないですか。〈ここにこういう雰囲気の歌詞がほしいよ~〉って言ったら、それはそれはおもしろい歌詞がすぐ出てくるので」

――それは普段から言葉を貯金してるんですか?

こしあん子「そうですね。一人でいる時はずっと何かを考えながら独り言を喋ってて。今日はずっと〈ほにゃほにゃ・チャッチャ!〉って言いながら歩いてたんですけど」

もちこめ子「ええ~~!!」

こしあん子「そういう楽曲を作ろうと思って。そういう感じでどんどん言葉が出てくるんですよ」

――じゃあ二人とも、どんどん出てくる人なんですね。いまネタは何曲ぐらいあるんですか?

こしあん子「めちゃめちゃありますよ。特にイライラした時とか負の感情が出た時はそれを歌詞にして昇華してるんで。いまこれくらいあります(と言ってスマホのメモを見せる)」

――めちゃくちゃある!

こしあん子「“ルサンチマン”でしょ、“だいたいでいい”でしょ、“かにドリーム”“牛タン”“都市伝説”“入稿データ地獄”“大豆の水煮”……」

もちこめ子「一寸先は?」

こしあん子・もちこめ子「大豆の水煮!!」

――???

こしあん子「犬も歩けば?」

こしあん子・もちこめ子「大豆の水煮!!」

――どうしたどうした(笑)?

もちこめ子「ことわざの最後を〈大豆の水煮〉にする遊びです(笑)。それが歌詞になるんです」

こしあん子「桃栗三年?」

こしあん子・もちこめ子「大豆の水煮!!」

――頭がおかしくなってきました(笑)。

こしあん子「そうですか? 私たちは世界一普通ですよ」

もちこめ子「庶民派ですから」

こしあん子「おはぎは庶民のお菓子ですから」

――おはぎってお菓子なんですか?

こしあん子「和菓子じゃないの? 私、和菓子が苦手なんですけど」

※おはぎは和菓子だそうです

もちこめ子「私はめっちゃ好きですけど、あん子ちゃんがおはぎ食べられなくてね(笑)」

こしあん子「あんこが苦手なんです(笑)。きなこのおはぎはギリ」

もちこめ子「お汁粉は?」

こしあん子「ギリ食べれる。あんこは大豆、おもちは米から出来てるじゃないですか。ああいうのはしょっぱく食べたくて。豆もお米も食事だろ、と。砂糖を入れるな、と。磯辺焼きがいちばん好きです」

もちこめ子「いまは考えてないけど、ライブやる時に絶対差し入れでおはぎもらうよね」

こしあん子「おはぎの差し入れはNGにしておこう(笑)」

――なのによくそのユニット名にしたなあ(笑)。


 

きききき金髪! イエイイエイ!

――お二人のキャラクターやユニットのコンセプトがわかってきたところで、おはぎの活動や“まぐろパーリナイ”のMV制作に携わっている周囲の人たちについても簡単に聞かせてください。プロデュースをしてるのは、ししめPさん

こしあん子「さっき言ったendoさんの知り合いのクリエイターで、打ち込みとかもできるから話をしたら手伝ってくれることになって。PはプロデューサーのPなんですけど、プロデュースというよりかは盛り上げてくれる人ですね」

――MVで踊ってるのも、ししめPさんのお宅ですか?

もちこめ子「あれはミックスをしてくれた伊藤(秀樹)さんのスタジオです。つばめスタジオっていう素敵なところで。伊藤さんはshabelのレコーディングやミックスをやってくれてた人で、麻佑ちゃんの紹介でお願いすることになりました。〈shabelの時に、すごく親身になっていろんなアドバイスをくれて、頼りになる人だから、伊藤さんにお願いしたらいいよー〉って!」

――周囲にいい人が多いんですね。

こしあん子「ありがたい焼き!ですね」

――そしてMVの監督をしてるのが株式会社えんどろーるで、MVの編集をしてるのがSergeant_twangさん

こしあん子「えんどろーるはendoさんの会社ですね。twangさんはもともとendoさんと仕事をしてた映像編集の人で、endoさん監修、twangさん編集でMVを作りました。簡単に言えば、endoさんが絵を描いて、twangさんが動かす、みたいな感じです」

――なるほど。そしてスペシャルサンクスに載っているのがshabelのТакэбучиさん……読み方はわからないですけど、たぶんたけぶちさんですよね。たけぶちさんは何をされたんですか?

もちこめ子「曲を作ってみて〈ドラムスはどうしようかな〉って考えた時に、なんか変な感じにしたかったんです。で、shabelも不思議なピアノ・トリオで、一般的なジャズのトリオとも違うので、〈ここはたけぶちさんでしょ〉ということでデモのドラムスを叩いてもらいました。それをししめPが打ち込んでくれて」

こしあん子「“まぐろパーリナイ”も最後ツーバスがすごくてshabelみたいだもんね」

――ドゴドゴドゴドゴってすごい音がしますね。あれは打ち込みに変わってもたけぶちさんだってわかります。

こしあん子「たけぶちさんは、こめ子ちゃんが指示をすると思ってたように叩いてくれるんです」

もちこめ子「私とshabelの麻佑ちゃんの作る曲は似てるからね(笑)」

――shabelがタワーレコード渋谷店でインストア・ライブをした時に、インストアとは思えない地鳴りのような音を出してましたよ。

もちこめ子「レジの人に怒られたらしいですよ、お会計の声が聞こえないって(笑)」

こしあん子「そんな人に見えないんですけどね。だから狂気を秘めてる人ってパッと見は普通の人なんですよ。金髪の人ほど優しかったりするしさ。きききき金髪! イエイイエイ!(急に歌いだす)」

もちこめ子「フワフワ!」

こしあん子「これ次の曲にしよう! こんな感じで曲がどんどん出来ちゃうんですよね(笑)」