Mikiki編集部員とTOWER DOORS担当・小峯崇嗣が最近トキめいた邦楽曲をレコメンドする毎週火曜日更新の週刊連載〈Mikikiの歌謡日!〉。今回は第74回です。紹介した楽曲はSpotifyのプレイリストにもまとめているので、併せてお楽しみください。 *Mikiki編集部

★〈Mikikiの歌謡日!〉記事一覧

Spotifyプレイリスト

 


【小峯崇嗣】

Faded old city “404 Notfound”

奈良県出身のバンド、Faded old cityが最新EP『First』をリリース。そこから”404 Notfound”をご紹介。壊れかけたネオンサインがゆっくりと点滅し、深淵から鼓動するようなミニマムなシンセ・サウンドが鳴り響く。ゆったりと曲が進むにつれ、中盤からの巻き返すレイヴィーで躍動感あふれるシンセ・ポップがたまらない一曲に仕上がっています。

彼らにはTOWER DOORSからメール・インタビュー〈6つの質問〉を行っています。ぜひ併せてチェックしてみてください!

 

TOSH “Lost Boy”

沖縄を拠点に活動するSSW、TOSHの最新曲。リズムカルでファンキーなカッティング・ギターと、艶やかさと渋さを兼ね備えたクールな歌声によって綴られる甘くも切なさを感じられるポップな一曲。ナイル・ロジャースとスティーヴ・レイシ―(Steve Lacy)を掛け合わせたような踊れてメロウな曲調が素晴らしいです。

 

JADHU “If Six Was Nine”

東京を拠点に活動する3人組のエレクトロニック・フューチャー・バンド、JADHUの最新曲。ミニマルなチルウェイヴ・サウンドで展開される楽曲。ダークでメロウなメロディーとヴォーカルのクールで渋い歌声が交錯するムーディーなエレクトロニック・チューンです。

 

ジオラマラジオ “彼女について私が知っている二、三の事柄”

〈TokyoNouvelleVague〉を掲揚し、東京都内を中心に活動するオルタナティヴ・ポップ・デュオ、ジオラマラジオが最新作『txt』からMVを公開しました。監督はミツメの須田洋次郎。彼ららしいレトロで淡さを感じられるテイストの映像になっています。

そしてなんとEP『txt』はカセットテープでの販売も開始。この真夏はぜひジオラマラジオの最新作とともに過ごしてはいかがだろうか?

 

【田中亮太】

NEHANN “Ending Song”

新世代インディー・コンピ『Destruct Tapes #1』にも参加していたNEHANNの新曲。ダークなサイケデリアをスケール感たっぷりに描くバラード。こういう曲をしっかり聴かせられるところに、バンドのポテンシャルの高さが窺えます。ヴォーカルの倍音から醸される色気といったら。

 

Zen101 “If I was a Flower”

変わらないあなた、変えようとした私、変わりゆく愛。すべての終わってしまった恋人たちに捧げたいエゴ≒ラヴのポートレート。これ、すごい歌だと思います。

 

Hi,how are you? “りんご飴”

ハイハワの夏、ネオアコの夏。

 

【酒井優考】

chelmico “Disco (Bad dance doesn't matter)”

最初聴いた感じでは、クラブで起こるいろんな光景とか、そこでかかってる音楽とかも含めて〈クラブへのラヴソング〉だと思ったんだけど、そういう楽しかった当たり前の世界がコロナによって一変してしまったわけで、2020年のいま聴くことによって、ただの〈クラブへのラヴソング〉じゃない、もっと広い〈在りし日の世界へのラヴソング〉に聴こえるのが素晴らしいなと思います。クラブなのに“Disco”ってタイトルにしちゃったり、〈いや、家が好きだよ基本は〉って前置きしちゃったりするchelmico的ひねくれ加減も最高。ようやく現れた、今年出すことに意味がある今年のための一曲。

 

NEE “不革命前夜”

突き刺す系のギター・リフに突き刺す系のヴォーカルにこのアニメーションですよ。やべー曲キタよ。

 

shabel “motion blue”

みんな大好き、エモーショナル・ドラスティック・プログレッシブ・メロディック・デスメタル・ネオ・ピアノ・トリオshabelが今週もライブ映像を公開。ってこの曲は……Motion Blue yokohamaで披露してくれた未発表曲“motion blue”ではないか! 静かな海面がだんだんと荒波に変化していくような感じとか、マイナー調が希望感あふれるメジャーコードに変わる感じとか、この1曲でshabelというバンドを体現していると思います。

 

おはぎ “おはぎのゆる豆ソング001”

みんな大好き、ポップ・ドラスティック・エモーショナル・プログレッシブ・センチメンタル・フリーダム・ナンデモ・アリな庶民派プログレ・ユニットおはぎ(プログレ2回出てきた)が、Twitterで新企画をスタート。ズバリ〈おはぎ〉のことを教えてくれるゆるふわソングで、ほっこりするし知識も得られるし一挙両得です。あなたはおはぎとぼたもちの違いをちゃんと言えますか?

 

【天野龍太郎】

米津玄師 “カムパネルラ”

2020年最大の話題作『STRAY SHEEP』から、“カムパネルラ”のミュージック・ビデオが発表。この曲、メロディーラインもすごいなと思うのですが、なんとも複雑かつ繊細に編み込まれたビートと、それを中心としたサウンド・プロダクションがもっとすごい。

 

ウワノソラ “無重力のフォトグラファー”

ウワノソラが、8月15日(土)にリリースするシングル『くらげ』(現在ウワノソラのオフィシャル・ストアで予約受付中)から“無重力のフォトグラファー”のMVを発表しました。角谷博栄くんが書く曲って突き抜けてポップで親しみやすいんですけど、その一方でとてもエレガントで優雅なので、こういう曲を書けるひとはなかなかいないと、いつも感じ入ります。ソングライター、コンポーザーとしての凄みを感じる一曲。Lampの染谷大陽さんと角谷くんがプロデュースしたNegicco・Kaedeさんの新作『秋の惑星、ハートはナイトブルー。』も、とっても楽しみです。

 

環ROY “Protect You”

なんと3年ぶりとなる新曲。不退転の決意が刻まれたリリックと音で、聴いているこちらも背筋が伸びる思い。〈俺ら気分はもう戦争/ほとんど占領された街の喧騒/お前を守るだけ〉。〈言葉を隔てる高層タワー〉というラインから、いろいろな意味を読み取ってしまいます。

 

ZOMBIE-CHANG “SNOOZE”

新作『TAKE ME AWAY FROM TOKYO』からの一曲。わお。超アシッドでエレクトロ! ダンス・ミュージックへの愛をびしばし感じるビートと電子音で、かっこよすぎです。

 

かねこきわの “ヘーゼルナッツ”

さとうもかチャンとの共演で知った、注目のシンガー・ソングライター、かねこきわのさん(出身も、もかチャンと同じ岡山)。彼女がついにファースト・アルバム『チョコレートムンク』をリリースしました。この“ヘーゼルナッツ”はその収録曲で、エレピやオルガン、シンセ・ストリングスが華麗に踊るキュートなポップ・ナンバー。恋を歌った、どストレートなリリックも含めて超いいです。

 

さとうもか “愛ゆえに”

その、かねこきわのさんの盟友さとうもかチャンが、新作『GLINTS』から“愛ゆえに”のMVを公開。まっすぐ響く歌、ロッカバラード調のビートとガレージ・ロック・サウンド、そしてなによりも岡山で撮影された映像がすばらしい。

 

tamao ninomiya “魔術師の弟子(demo)”

tamao ninomiya · 魔術師の弟子(demo)

7月の連休中、鯔を愛する男さんによる狂気の催し〈24時間耐久ガールズポップ〉に参加していた、たまおさんの新曲デモ。ハッシュタグには〈Sixty Records〉(麗美や早瀬優香子、戸川京子の作品をリリースしていたレーベル)とあります。たしかになんとも頽廃的で、ファンタジックで、ヨーロピアンな感じ……。歌詞がおもしろいので、どこかに載せてほしいです!

 

【鈴木英之介】

松任谷由実 “あなたと 私と”

ユーミンと「刀剣乱舞」の組み合わせを一体だれが予想しただろう。ペダル・スティール・ギターを随所に用いたアレンジは荒井由実時代のそれを彷彿させるが、角度を変えると昨年“Andromeda”でやはりロマンティックなペダル・スティール・ギターを聴かせたワイズ・ブラッドへの反応であるようにも感じられ、また興味深い。

 

Serph “Lilium (happy end mix)”

静謐なキーボードに導かれ、分け入ってみると、そこにはホーリーな世界が広がっている。無垢な歌声とピコピコとした電子音、単純な踊りを拒むようなビート、グリッチ・ノイズ。要素だけ取り出せば、過去のジャンルとしての〈エレクトロニカ〉のようにも感じられるが、それらの組み合わせから成るこの曲にはまぎれもない現代性があり、とびきり新鮮に感じられる。

 

豊田道倫 “ケダモノの涙”

衝動がそのまま結晶化したような、シンプルでありながら豊饒な一曲。それはまるで、赤ん坊の産声のようだ。荒々しいギター、泥臭い歌唱、メロウなコード感、悲哀に満ちた歌詞。どこを切っても豊田節で、聴いているうちに力がみなぎってくる。

 

パソコン音楽クラブ “Murmur”

最新EP『Ambience』からの一曲。肉体に直接訴えかけてくる快楽的な四つ打ちとアルバム名を体現するかのようなアンビエント感覚が融合し、深遠なダンス・ミュージックとして結晶している。音楽性に似たところのあるアンダーワールドの名盤『Beaucoup Fish』(99年)などと並べて聴くのもまた、オツなものかもしれない。