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インタビュー

おはぎ“まぐろパーリナイ” 突如現れた庶民派プログレ・ユニットの正体に迫る!

おはぎ“まぐろパーリナイ” 突如現れた庶民派プログレ・ユニットの正体に迫る!

それは一通のメールから始まった。〈私たち、こしあん子・もちこめ子の二人からなる庶民派プログレ・ユニットの「おはぎ」と申します。1月3日に結成し、“まぐろパーリナイ”という曲をYouTubeで発表、配信もしています。もしよければインタビューをしていただけないでしょうか〉。おはぎにまぐろ、なんじゃそりゃ。

その“まぐろパーリナイ”の楽曲説明にはこうある。〈聴けば聴くほど癖になる、ポップ・ドラスティック・エモーショナル・プログレッシブ・センチメンタル・フリーダム・ナンデモ・アリな曲です!〉……この長いジャンル名、どこかで聞いたことがあるような。

しかし、いざ聴いてみたら思わず病みつき&腹ペコになってしまう名曲だし、カラフルなMVはかわいくてシュール。これは大物の予感がする……ということで、こしあん子(作詞・ヴォーカル/黒丸)、もちこめ子(作曲・キーボード/白丸)のお二人にお話を訊いてみることにしました。

※途中発言が「・」で区切られた箇所が出てきますが、ここは二人が不思議な声のラップ調(通称・おはぎ弁)で喋っている箇所です。おはぎ弁については本文を参照してください

おはぎ まぐろパーリナイ E-stage(2020)

 

〈おはぎって何やねん?〉その1・もちこめ子編

――突然のご連絡ありがとうございました。まずは〈おはぎって何やねん?〉というところからお訊きしたいのですが、お二人は普段何をしてらっしゃるんですか?

こしあん子「普段は、おはぎとして活動するための精神的な修行みたいなことを日々やっています」

――それは、いまとは違うかりそめの姿で?

こしあん子「そうです。昼は仮の姿、夜はおはぎ。闇に紛れたおはぎ!」

もちこめ子「私も、なるべく新鮮なもち米でいられるように頑張ってます。カピカピのお米になってはいけないので」

こしあん子「いつでも新米だね!」

――二人はすごくノリノリなんですね……。

こしあん子「ノリノリって何ですか!? これがおはぎです!」

――それでは、もちこめ子さんの役割から教えていただけますか。

もちこめ子「私は作曲とキーボードを担当しています。ベースやドラムスのイメージもある程度考えますが、打ち込みはプロデューサーのししめPにお願いしているので、それ以外の楽器を担当していますね」

――オフィシャルサイトも作られたそうですね。そういう技術もお持ちで。

もちこめ子「そうです。夜はおはぎだけど、昼のかりそめの姿の間はIT企業に勤めているので」

――作曲はいつからされてるんですか?

もちこめ子「ピアノを4歳からやっていて、中学くらいから音感を頼りにTVのCMや好きな曲の耳コピをするのが楽しくなってきて、大学で軽音サークルに入ったんです。そこでもいろんな音楽をコピーし始めて、ディープ・パープルとか、東京事変とか、電気グルーヴとか色々。その後、大学4年くらいから作曲をするようになりました」

――電気グルーヴのコピーとはすごい(笑)。プロフィール欄には音について〈エモーショナル&ドラスティックな音〉とありますね。

もちこめ子「それは、あん子ちゃんが書いてくれたんです。私はあんまり、どういう音にしようって意識はしていなくって。というわけであん子ちゃん、ぜひ解説してください!」

こしあん子「こめ子ちゃんはパッと見、明るくってホワワンとした感じの炊き立てのお米なんですけど、曲はホワワンとはしてなくて、音とのギャップがすごいんです。その振り幅がドラスティックだなと思うんです。曲の展開もドラスティックだし。あと彼女はイラストも描くんですけど、普段あんまり感情を表に出さない代わりに、曲とかイラストでアウトプットする時にパンパンになった感情をウワーッて出すんです。そういうところはエモーショナルだなって」

――こめ子さんはギャップがある方なんですね。

もちこめ子「ギャップがあるってよく言われますね。もともと私は言語化するのが得意なほうではなくて、自分の気持ちを言葉で表現すると嘘みたいになりがちで。でも絵とか音にするとしっくりくるんです。負の感情も作品にしてしまえば、〈形になって生まれてくれてよかったね〉って愛せる。ウワーッて感情を出すときは、実際に炊き立てのお米を出す時みたいな気持ちです。おいしい時に・出す!」

こしあん子「それを・私は・あんこで・シュッと包む!」

――ホワワンのなかにエモがあるんですね。

もちこめ子「音楽に限らずエモいものは好きなんですよ。甲子園とか、月9とか、涙もろいので。音楽もメロコアが好きだったり。ハイスタとか、10-FEETとかも聴くし」


 

〈おはぎって何やねん?〉その2・こしあん子編

――では次はこしあん子さん。あん子さんの役割は何ですか?

こしあん子「私は作詞と歌をやっております」

――詞を書いたり歌を歌ったりするのは、ずっとやられてたんですか?

こしあん子「全然やってないです。中学生の時にポエムとか小説みたいなものは書いてたし、歌も好きではあるんですけど、それを表に出すのは恥ずかしいことだと思っていて。最近素直に好きだなって認められるようになったばっかりです」

――なぜやろうと思ったんですか?

こしあん子「私の友達に〈うさぎ帝国〉っていうキャラクターを描いてるendoさんっていう人がいて、〈ドッペルか?〉っていうくらいすごいソックリなんですけど(笑)。endoさんが〈うさぎ帝国〉のテーマソングの“うさぎ帝国のうた”の詞を書いてるのを見ていて、endoさんも音楽をやってない人なのにめっちゃ楽しそうだったんですよね。私はピアノをやってたけど才能がなかったし、音楽っていうのは選ばれた人がやるものだと思ってたから〈私はそっちの人間じゃない〉って思ってたんです。でもendoさんを見てたら〈そんな気軽に音楽を楽しんでいいんだ〉って思って、そこからちょっとずつ私もやりたいっていう気持ちが出てきたんです」

こしあん子の友人であるendoが作詞し、もちこめ子の友人であるshabelの髙橋麻佑が作曲した“うさぎ帝国のうた”のMV
 

――endoさんが作詞した“うさぎ帝国のうた”も、あん子さんが作詞した“まぐろパーリナイ”も、言葉を畳みかけるパートがありますよね。ラップとも違うし、あれって独自のものですよね。

こしあん子「そうかも!」

もちこめ子「そうかもね!」

こしあん子「私は変な声だし、歌が下手なんで、ああなるのかも」

――下手ではないですよ。味がある。

こしあん子「ありがとうございます!」

もちこめ子「でもさ、あん子ちゃんの声がクセになってる人は絶対いるよね」

こしあん子「客観的に自分の声を理解はしていて、マンキンでエモい曲を歌っても量産型J-Rockみたいになっちゃうから、そこで勝負しても意味ないと思うし。じゃあこの声を活かした音楽を模索しようと思って、あのスタイルになったんですよね。音程もごまかせるし、アドリブもできるし」

――これまたプロフィールに、詞に関しては〈平凡&無秩序な詞〉と書いてあります。平凡で無秩序、というのは意識されてることですか?

こしあん子「いわゆるJ-Popによくある、愛だの恋だの虹が出るだの雨は止むだのっていう歌詞は、〈そんなわけねえだろ!〉って思っちゃうんですよね。あ、いま全方面にケンカを売ってしまった(笑)」

一同「(笑)」

こしあん子「ちなみにJ-PopもJ-Rockも好きですよ! そういう曲を聴いたりカラオケで歌ったりするのは平気だけど、私はそんなこと書けない。なぜならそんなこと思ってないから。だから、歌にする時に〈歌にするまでもないことを歌にする〉っていうほうが素直に活動できるなって思って、それで〈平凡〉なんです」

――その発想自体が非凡な気がします。

こしあん子「あーそうなのか! 〈無秩序〉っていうのは、さっきのこめ子ちゃんの話にも通ずるんですけど、言葉にすると絶対〈そうじゃないのにな〉っていう瞬間があるんですよ。言葉は辞書的な定義を超えられないから。だから歌詞に意味を込める、ということに意味を感じていなくて、歌詞を聴いた人がそれぞれの経験を元に勝手に解釈していけばいいんじゃないかと思っているんです。メッセージ性なんて込めてもどうせ伝わらないんで(笑)」

もちこめ子「無理やり感覚に言葉をつけてもうさん臭くなりがちだよね。だから意味じゃなくて音としてそのまま感じてもらえればいいなって」

――それって作詞歴が何年もある人の達観した考え方みたいですね。1曲しか発表してない人には思えない。

こしあん子「ぅやった~、褒められた~! でもそんなことないですよ、ひねくれてるだけで」

もちこめ子「あん子ちゃんはすごいんです。その場の状況とか人が何を考えてるかっていうのを的確に表現できる人で、冷静に人や物事を見ているんです。そういう物事の見方はおもしろいし、どんどんアウトプットしてほしくって」


 

もち米とあんこ、合体!

――そんなあん子さんとこめ子さんはどう出会うんですか?

もちこめ子shabelというインスト・バンドに、私にすごくソックリなお友達の髙橋麻佑ちゃんっていう子がいて、さっき言ってた“うさぎ帝国のうた”を麻佑ちゃんとendoさんの二人で作っているのを見て、これまでインスト曲しか作ってこなかった私も歌モノの音楽もおもしろいなって思ったんです。でも私はメッセージ性とかをあんまり込めたくなくって、それなら普遍的な……例えば〈バスタオルって週に何回洗ってるの?〉とか、〈ちりめんって、織物のちりめん柄と、ちりめんじゃこと、どうして意味が2つあるの?〉とか、誰でも興味があるようなことをテーマにした曲にしたかったんです。でも私が歌詞を書くと恥ずかしくなっちゃうし、歌も歌うつもりはないし。そんな時に、あん子ちゃんに話したらノッてくれて」

こしあん子「二人とも精神年齢が小5くらいで、一緒に絵を描いてるとすぐ思ったことにリズムを付けて歌うんですよね。だからそれを曲にしようぜってなって、〈ユニットやろうよ〉〈おはぎだ!〉〈すご~い!〉みたいな感じだったよね」

もちこめ子「その時に〈おはぎ〉っていうユニット名と〈もち米と、あんこのように、相性のいいわたしたち。〉っていうキャッチコピーも生まれてね。二人で絵を描いてる途中、カフェから別のカフェへ場所を変えたら、鉛筆削りを忘れちゃって、〈どうして・僕を・置いてった・セイ!〉って歌い始めて」

こしあん子「どうして・僕を・置いてった・アリーナ!」

もちこめ子「(笑)。こんな感じで、リズム先行で曲がすぐ出来ちゃうんですよ。で、そこ以外のパートを広げていって曲を作るんです。だからおしゃべりの延長で出来たユニットなんです」

こしあん子「テーマが平凡だからね、歌詞もおのずと普通になりますよ」

――平凡じゃないけどなあ~(笑)。取り上げるテーマは平凡でも、そんなこと取り上げる人がいないから、結果的に非凡になってる気がする。

こしあん子「そうかな~。そういう歌詞の人は意外といる気がするんです。相対性理論とか水カン(水曜日のカンパネラ)とか。言葉の意味がないほうが言葉の意味が無限に広がっていくような」

――ああ~なるほど。水カンと言われてピンときました。

もちこめ子「私、水カンの“ディアブロ”、めっちゃ好き」

こしあん子「group_inouとかね。“まぐろパーリナイ”のMVはAC部も参考にしていて」

――ああ~わかる~。〈おはぎ〉というユニット名の由来は?

こしあん子「私は、たまっていうバンドがすごい好きで。たまっていうバンド名は、ネコによく〈たま〉っていう名前を付けるじゃないですか。それくらいの気持ちでバンドに名前を付けたことが由来らしくて。だから意味のある名前より抽象的な名前がいいなと思って。横文字とかねえ」

もちこめ子「あー私たちには無理無理! 解散! おはぎだからいいんですよ」

――じゃあちょうど話に出たので、他に好きなアーティストとか影響を受けた人っていますか?

こしあん子「私はたまと、最近は人間椅子が好きですね」

――人間椅子ですか! 意外!

もちこめ子「あと、一緒にパスピエのライブに行ったよね! ライブといえば私は日食なつこさんとか好きで去年ライブ行きました。冬に聴きたくなる」

こしあん子「パスピエはファンクラブに入るくらい好きです! あと倉橋ヨエコとか好きでしたよ」

もちこめ子「私も好きだった~」

――ええ~! 意外な名前が!

もちこめ子「あ、バンアパ(the band apart)も大好きです。原さんのベースが大好きなんですよ。あと、あっこゴリラとは同級生で友達だからよく聴くしライブも行きます。何でも聴きますね」

こしあん子上原ひろみは?」

もちこめ子「上原ひろみも聴く!」

――shabelの3人もライブに行ったって言ってましたね。

もちこめ子「行きました!……あ、行ったって言ってました!」

――個人的には、扱うテーマは打首獄門同好会に近いかなって思いました。

こしあん子「ああー! 近いですね。あとはヤバT(ヤバイTシャツ屋さん)とか岡崎体育とか」

もちこめ子「大きなジャンルで分けたらそこに入っていきそうだよね」

――でも二人は笑わせにはいってないんですよね。

こしあん子「そうです!」

もちこめ子「割と真面目です。真面目にふざけてます!」

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