ランディ・ブレッカー、愛妻アダ・ロヴァッティとの共演作を語る
ブレッカー・ブラザーズ・リユニオンのサックス奏者アダ・ロヴァッティの曲を、公私に渡るパートナーであるランディ・ブレッカーを中心としたバンドが演奏する『Sacred Bond』がリリースされた。デヴィッド・サンボーンとの共演のために来日したランディに、アダの音楽の魅力について語ってもらった。
RANDY BRECKER,ADA ROVATTI Brecker Plays Rovatti: Sacred Bond Jazzline(2019)
「ここ数年で彼女のコンポーザーとしての腕は飛躍的に上がったね。最初に曲を聴いたときから才能があると思っていたけど、その後もがんばって勉強していて、作曲家としての実力が上がったと思う」
──今回、ランディさんの役目は?
「僕はライナーノーツを書いて、バンドのメンバーを集めて、いくつかの曲のタイトルを考えただけだよ(笑)」
──アダさんの曲はとてもいいメロディが次々に出てきて聴きやすいけど、実は演奏するのは難しいのかな、と思いました。
「聴く分には難しい感じはしないよね。でも曲によっては難しいところもある。あと、曲の配列がとてもうまくいっていて、通して聴いて満足感があるね。僕は自分が参加したCDはほとんど聴き返さないけど、このアルバムだけはまた聴きたくなる」
──アダさんは、ランディさんの曲作りから影響を受けていると思いますか?
「彼女には独自のスタイルがあるけど、これだけ親しい仲だから無意識に影響を受けているとは思う。このあいだ僕にホーン・アレンジの仕事が来て、ブレッカー・ブラザーズのスタイルで、ということだったんだけど、忙しかったので彼女に頼んだんだ。出来上がったものを聴いたら、僕より全然ブレッカー・ブラザーズのサウンドになっていた(笑)」
──ところで、ドイツのNDRビッグバンドとの共演作『Rocks』で、ランディさんはグラミーの〈ベスト・インプロヴァイズド・ジャズ・ソロ〉部門にノミネートされていますね。ここ数年、ランディさんのトランペットはより美しくなっていると思うんですが?
「最近の方が練習しているからね。ニューヨークのアパートメントから郊外の一軒家に引っ越して、夜通し練習したりもするんだ。以前は一日中スタジオで仕事をしていたけど、今は家にいて、トランペットにじっくり向き合う時間ができたことがよかったと思う。ニューヨークの生活は楽しかったけど、夜に練習するときはミュートを付けなければいけなかったしね。今は大きな音で、夜中の3時でも練習できる(笑)」
というわけで、今年のグラミー賞を見事受賞したランディ・ブレッカーに拍手を!