リース(1784~1838)はベートーヴェンの数少ない弟子の一人だが、その生涯や作品についてはほとんど知られていない。これは彼の世界初の伝記である。実は彼が師と同様、ボンの宮廷音楽家の一族である事、彼がボンを離れるきっかけがナポレオン軍の侵入で、その後3度も滞在中の都市を同軍に追われた事、作曲家として成功した彼がイギリス音楽界の指導的立場となり師に作品(第九)を委嘱した事、そして折々に書かれた彼の作品は師の影響が色濃い事など、当時の世界情勢や音楽界の動向を踏まえながら語られてゆく。読めば彼の作品を聴きたくなること必至。巻末にはアルバムガイドが用意され至れり尽くせり!