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インタビュー

ブロンソン(Bronson)――オデッザとゴールデン・フィーチャーズの新ユニットが語る「音楽が救いになればいい、でも……」

ブロンソン(Bronson)――オデッザとゴールデン・フィーチャーズの新ユニットが語る「音楽が救いになればいい、でも……」

2017年のサード・アルバム『A Moment Apart』が全米チャート3位を記録。第60回グラミー賞で2部門にノミネートされるなど、EDMシーンのなかで名実ともにトップ・アーティストの仲間入りを果たした米国シアトルのデュオ、オデッザ(Odesza)。3年に及んだワールド・ツアーを終えた彼らが新たにタッグを組んだのは、長年親交を育んできたオーストラリア・シドニー出身のプロデューサー、ゴールデン・フィーチャーズ(Golden Features)ことトム・ステルだ。

ゴールデン・フィーチャーズのダークなタッチのハウス・トラックとオデッザが得意とするドリーミーかつ壮大なサウンドスケープを融合するべく新たに立ち上げたプロジェクトは、アルバム『Bronson』において、ウルトライスタ(Ultraísta)のローラ(Lau.ra)やR&Bシンガーのギャラント(Gallant)、英国のプロデューサー、トータリー・イノーマス・エクスティンクト・ダイナソーズ(Totally Enormous Extinct Dinosaurs)をゲストにフィーチャー。ポストCOVID-19の時代に対峙するかのような深淵なるダンス・ミュージックを作り上げた。 海を越えた友情を糧に、新境地を切り開いたオデッザのハリソン・ミルズに話を訊いた。

BRONSON 『Bronson』 Foreign Family Collective/Ninja Tune/BEAT(2020)

 

ダークなハウスと立体的なサウンドスケープの融合 

――ブロンソンは、オデッザの持ち味である立体的なサウンドスケープとゴールデン・フィーチャーズのダークなエッジを兼ね備えたプロジェクトとなりました。完成した作品の手応えはいかがですか?

「ブロンソンは、友達同士で何か新しいものを作ろうと、プレッシャーがゼロの状態で始めたプロジェクトなんだ。限界も制限もなく、そこにはクリエイティヴな空間が広がっていて、そんな環境に身を置くのがすごく楽しかったね。ヘヴィーな曲もあればダークな曲もあり、高揚感や悲しみ、オデッザとして今までやったことがないタイプの曲や、トムがゴールデン・フィーチャーズでやったことがないタイプの曲もある。新たな音楽を試みる場として本当にエキサイティングだったよ」

『Bronson』収録曲“Keep Moving”
 

――2組の出会いについて教えてください。

「彼と最初に会ったのは、2014年、僕たちが初めてオーストラリアを訪れたパースの音楽フェスティヴァル〈CIRCO〉だったんだけど、バックステージが学校の体育館みたいな感じになっていて、そこでトムと一緒にビールを飲みながら喋っているうちに意気投合したんだ。その後、しばらく会わなかったけど、僕らが改めてオーストラリアをツアーした時にものすごく親しくなって、その後もFaceTimeで連絡を取り合うようになったんだ」

――トムのどういう部分に惹かれたんだと思います?

「どうなんだろうね。あまりにすぐ仲良くなってたから、よく覚えてないんだ(笑)。でも、冗談を言い合った時、お互いにユーモアのセンスが近かったというか、同じ匂いがしたんだよね。それから、思ったことを正直に言い合えること。それがある意味僕らの友情の土台になっていると思う。どんな音楽を作るにせよ、クリエイティヴなコラボレーションを行ううえで、正直になれることがなにより重要だからさ」

――ゴールデン・フィーチャーズは、ラッパーのMFドゥームにインスパイアされた金のマスクをステージで付けていることからもわかるように、ルーツはヒップホップやグラフィティだそうですね。ハリソンもヒップホップがお好きですよね?

「そうだね。ヒップホップは間違いなく共通点だと思う。もちろん他にも共通点はあるんだけど、僕個人でいうと、音楽を作り始めた時にものすごくヒップホップに影響を受けたからね。サンプラーのMPCでヴァイナル音源をかたっぱしから切り刻んで曲を作ったりしてたんだ。それから僕はアート全般が好きで、グラフィティも好きだから、そういう部分でも話が合ったことが大きかった」

ゴールデン・フィーチャーズのツアー映像
 

――その後は海を隔てて、Dropboxでのデータのやり取り、FaceTimeでのコミュニケーションを続けていたそうですね。それぞれが多忙のなか、お互いのやり取りはどんな意味を持つものでしたか?

「トムはリラックスできる相手なんだよ。電話でお互いの近況や音楽業界についてひたすら世間話をするだけのこともあるくらい。実際に作業するなかで距離的に離れているから大変だなと思うこともあったけど、逆にそれが楽しかったんだよね。向こうの朝がこっちの夜だから、1日中作業してそれを送ると、向こうが朝受け取って1日かけて作業して、僕らが起きると新しい曲が出来てたり(笑)」

――なるほど。時差がポジティヴに作用したわけですね。一緒に曲を作るようになったきっかけというのは?

「好きな音楽やアイデアをシェアするようになって、お互いが作ってる曲に感想を言い合ったりしていたんだけど、2018年に僕がトムのアルバム『Sect』に参加したのがきっかけで〈そういえば一緒に音楽を作ることもできるんだよな〉って思ったんだ。あと、シェアしていた音楽のなかでもUKのブレイクビーツ的な、ムーディーな雰囲気のなかでドラムが鼓動を打っているみたいな音楽に、みんなが同時に刺激を受けていたこともあり、〈それなら自分たちが心から好きな音楽を一緒に作ろうよ〉って。そういった流れが今回のコラボレーションに繋がったんだ。

新しいプロジェクトにした理由は、一緒に作る音楽がオデッザとは全然違うから。おそらくゴールデン・フィーチャーズよりもオデッザの方が普段やってることからの飛躍が大きかったと思う。ゴールデン・フィーチャーズはダークなハウス指向の音楽だからね」

オデッザのライブ映像
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