全国のタワーレコードのスタッフが、己の〈耳〉と〈直感〉だけを基準に世間で話題になる前のアーティストの作品をピックアップし、全店的なプッシュへと繋げる企画〈タワレコメン〉。これまで、相対性理論神聖かまってちゃんクリープハイプceroKANA-BOON、洋楽ではストライプスチャーチズといった現行シーンの最前線で活躍するアクトをいち早く発掘しており、現在は月1回のペースでオススメ・アイテムを紹介しています。Mikikiでは、そんなタワレコメンの選定会議に潜入し、作品の魅力を視聴コンテンツと共にお伝えする特集を連載中! 今回は2014年11月度の洋楽編です!!

★2014年10月度の洋楽編はこちら
★2014年10月度の邦楽編はこちら
★TOWER RECORDS ONLINEの〈タワレコメン〉特設ページはこちら
★TOWER RECORDS ONLINEの〈タワレコメン〉連載記事の一覧はこちら

 


 

 

タワーレコードの本社にて行われるタワレコメンの会議。今回も音楽通のスタッフたちが〈これぞ!〉というオススメ作品を持ち寄り、タワレコメンの狭き門を通過するための熱いプレゼンを繰り広げました。何百タイトルという新譜のなかから候補作に挙がったのは……!?

トップを飾ったのは、本国UKで早くも注目を集めている新鋭プロデューサー・デュオ、ゴーゴン・シティーのファースト・アルバム『Sirens』。小洒落たエレクトロにハウスやEDMのエッセンスをミックスした、どこかアダルトな薫りも漂うダンス・ミュージックは〈ネクスト・ディスクロージャー〉の呼び声も高いとのこと。「佇まいも含めて、すでに大物の風格を感じます!」とは担当者の言葉。

 

次は、女優としても活躍するジョセフィーヌ・ドゥ・ラ・ボームと、弟のアレクサンドルによるフランス発の妹弟デュオ、シングタンクのニュー・アルバム『Ceremonies』。ジョセフィーヌは、敏腕プロデューサーのマーク・ロンソンの奥様としても知られています。フレンチらしいセンスが活きたロマンティックなインディー・ポップに、「何もかもがファッショナブル……」と感嘆するスタッフも。

 

続いて、UKの老舗レーベルであるアシッド・ジャズ発のブリティッシュ・ソウル・バンド、ニュー・ストリート・アドヴェンチャーの新アルバム『No Hard Feelings』。スタイル・カウンシルの系譜に連なるヒップで端正なグルーヴはセンス抜群で、バラードではアル・グリーンあたりを思わせる瞬間も。今年20周年を迎え復刻などが相次いだフリー・ソウル関連のアイテムと一緒に店頭に並べたい、という現場スタッフならではの意見も飛び出しました。

 

「とにかく超キラーな“Pumpin Blood”を聴いてほしい!」という推薦者の熱いコメントで紹介されたのは、スウェーデンのプロダクション・チーム、ノーノーノーの初アルバム『We Are Only What We Feel』。同国の人気ユニット、アイコナ・ポップのプロデュースも手掛ける彼らですが、たしかに“Pumpin Blood”のキャッチー&ポップさは尋常じゃない! 「iPhoneのCMに使われてもおかしくない!」との推し文句にも妙な説得力あり(笑)。

 

次は、ミックステープがネット先行でバズっていたシアトルの2人組、オデッザの初フィジカル作『In Return』。UKの名門レーベル、ニンジャ・チューン傘下のカウンターからの作品ということもあってか、インディーR&Bの流れを汲んだメロウネスとポップネスのさじ加減が絶妙です。「普段のタワレコメンとは毛色が違いますが、これはオススメです!」という担当者のコメントからも本気度がビンビンに伝わりました!

 

ここで会議室の温度を急上昇させたのが、20歳前後という驚異的な若さの兄弟、ミカイアとアナイアによるバンド=ボッツのファースト・アルバム『Pink Palms』。実は本作の発売を前に今夏の〈SUMMER SONIC〉にすでに出演しており、担当スタッフはそのステージを体感して大きな衝撃を受けたとのこと。溢れんばかりの若さと初期衝動で鳴らされる剥き出しのロックンロールは、たしかにものすごいインパクト!

【参考動画】ボッツの2013年の楽曲“5:17”

 

続いて、トゥエンティ・ワン・パイロッツらを輩出したフェルド・バイ・ラーメンの新星、ヴァイナル・シアターの『Electrogram』。タイトルからもうかがえるエレクトロの要素を、突き抜けるようなポップネスと共にモダンなUSロックに落とし込んでおり、「普段は洋楽をあまり聴かない人にもオススメできます!」とのこと。この秋のドライヴやデートのBGMにもうってつけでは?という提案に、多くのスタッフが納得。

 

なにやらサイケデリックなデザインのジャケットが異彩を放っていたのは、担当いわく〈紅一点であるエリン・ラーソンのヴォーカルがジャニス・ジョプリンを彷彿とさせる〉ハード・ロッキンな4人組、ブルース・ピルズの日本デビュー・アルバム『Blues Pills』。BURRN!誌のレヴューで高得点を獲得した70sスタイルのソウルフルかつレイジーなブルース・ロックは痺れるようなカッコよさで、ハスキーな歌声も映えることこのうえなし!

 

またガラリと雰囲気が変わり、アイコナ・ポップやシェール・ロイドへの楽曲提供で頭角を現したスウェーデンの女性シンガー・ソングライター、トーヴ・ローのデビュー・アルバム『Queen Of The Clouds』が登場。失恋ソングの“Habits(Stay High)”が世界中でヒットを記録し、夜遊びの狂騒と空しさを描いた同曲のMVも注目を集めています。同じく作曲家からブレイクした歌姫、シーアあたりとセットで売り場を作りたい!とのアイディアも。

 

ラストは、マルチ・プレイヤー2人によるプロダクション・デュオ、シルク・ローズの初アルバムで、品質保証なストーンズ・スロウから到着した『Silk Rhodes』。「ぱっと聴きのインパクトは負けるかもしれないけれど、繰り返し聴くと本当にいいんですよ……」という推薦者の真摯な本音が、〈プリンス×スライ×デルフォニックス〉とも称されるモダンなソウル/ブギー感と共にじわじわと沁みてきました。

 

先月を上回る計10アイテムがひしめき、熱のこもったプレゼン合戦となった今回のタワレコメン。いよいよ多数決を取って絞り込むわけですが、やっぱりみなさんかなりお悩みのご様子。そんな熱戦を制して選ばれたのは……