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1961年『イドメネオ』 ©Archiv Salzburger Festspiele/Josef Dapra

 モーツァルトのオペラでは、40代で亡くなったフェレンツ・フリッチャイが活動最末期の61年に指揮した “イドメネオ”も貴重。さらにクラウディオ・アバド指揮のヤナーチェク“死者の家から”、アンナ・ネトレプコ(ソプラノ)がヴィオレッタを歌ったヴェルディ“ラ・トラヴィアータ”、ダニエル・バレンボイム指揮のチャイコフスキー“エフゲ二・オネーギン”も聴ける。

 演奏会に登場する指揮者はカラヤン、ベーム、若き日のズービン・メータ、レナード・バーンスタイン、ジェイムズ・レヴァイン、ゲオルク・ショルティ、アバド、ピエール・ブーレーズ、リッカルド・ムーティ。さらに長くザルツブルク・モーツァルテウムの学長を務めたカラヤンの恩師、ベルンハルト・パウムガルトナーが指揮したモーツァルトも2枚。ボーナス盤の2枚目、〈CD58〉と最後の番号が打たれたディスクでは、パウムガルトナーが自身の人生を語っている。

 リサイタルはピアノだけ。アルフレート・ブレンデルの81年から2007年までの演奏を編集した2枚とグレゴリー・ソコロフの2枚、マルタ・アルゲリッチとネルソン・フレイレの2台ピアノを収めた1枚。ボーナス盤のもう1枚、〈CD57〉は今年も記念の8月22日に上演される「イェーダーマン」の演劇ライブ、58年の舞台だ。収録年代や選曲に偏りがあるように見えて、実は3人の創設者を軸に100年の歴史の節目を飾った作品を丁寧に網羅した、優れたボックス企画だといえる。