どんな相手にも対応可能なブルースを引っ提げ、理想郷を探し求めてあてどない鉄火旅を続ける男の5年ぶりの新作。ダーティーなエレキがのたうち回る冒頭の“Maktub”からして今度の旅がスリルに満ちた内容だと伝えてくれるが、ジャズやヒップホップなどさまざまなスタイルへの深い理解が顕れた楽曲群からは従来以上に野心的な姿勢が読み取れたりもする。それはコラボ曲にも顕著で、スティーヴィー・ワンダーやジョージ・クリントンらその筋の超大物を迎えての見事な立ち回りぶりを見ても、彼らしいファンク・サウンドを披露し、演奏家としてひと皮剥けた姿が拝めるだろう。相当な力作だ。