コロナ禍で目まぐるしく動く世界が突然止まった。ピアニストのシモーネ・ディナースタインはしばらくピアノを離れたそうだ。そしてゆっくりとグラス作品とシューベルトのピアノ・ソナタ第21番を奏でて動き出した。バッハのディスクで高い評価を得た彼女はCOVID-19の影響でニューヨーク・ブルックリンの自宅にこもった。その6月に自分の愛用のピアノで録音したアルバム。タイトルとライナーノーツに詩人ワーズワースの孤独に関する詩を引用。タイトルは日本語に訳すなら〈静かな性格〉。1音1音愛おしむように奏でた深遠な美しい高音の静寂の歌が心に響く。全体に優しいサウンドの録音に仕上がっている。