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大喜利みたいに、次々とおもしろいアイデアが出てくる

――言葉の選び方もおもしろいんですよね。笑えるという意味じゃなくて。“ざらめ、綿飴”も変わったタイトルだし、いまの街の景色と心情の両方が絶妙に描写されている歌詞にもグッとくるじゃないですか。

2020年の楽曲“ざらめ、綿飴”
アルバム『ドラマのデー』にも収録
 

安宅「あの曲はもともとは、淡々としながらもわりと幸せな日常を描いていたんです。それをみんなでドラマチックにできたのは大きかった。川原さんにドラムのパターンを全投げしたら、あんなドラマチックな感じであがってきたんです。あれはぜったい僕には思いつかないし、そこから始まったことで全体もすごくドラマチックになった。

言葉に関しても〈どっかでまた祭りがあったよね〉っていうもともとあった一節から脇山が急に〈祭り行ったよね、綿飴買うよね〉みたいなこと言い出して。〈綿飴の原料ってなんだっけ?〉〈ざらめだね〉ってやりとりが2人であり、そこでタイトルが“ざらめ、綿飴”になったんです。そのタイトルが決まってから、夕陽の景色とかを歌詞に入れこんで。人に聴かせると〈さみしげだね〉とか言われるので、人がそう思うのならそういった風合いに近づけていこうと。そういう要素が結構全部ガチッとハマった曲なんです」

――脇山さんがそういう感じで曲に対してスイッチが入るのはよくあることなんですか?

脇山「夜な夜な(安宅に)電話したりして、そこでぽろっと出た会話を彼が歌詞に拾ってくれることは結構あるかもしれないですね。お笑い好きって言ってましたけど、彼は大喜利みたいにパッとおもしろいことを言うのが好きなので。それに、やっぱりメンバーと話していて出てくることってすごく価値があるし、ユニークなアイデアが多い。なるべくそういう場ができるように僕はしてるかもしれないです。“ざらめ、綿飴”はサビの歌詞が会話形式になっているんですけど、あれもフジカケの歌がなかったらああいうキラメキは生まれなかったと思うし」

安宅「前の僕だったら絶対やらないことだったんです。それが、〈なんか会話っぽいこと書いてるし、ほらねとか言ってるけど大丈夫か?〉みたいな感じ(笑)。でも、やったことで解放されましたね」

脇山「あの曲のリード・ギターも〈るいさんならどういう世界観を作ってくるんだろう?〉っていう考えがなかったら、ああいうキラキラした音は入らなかっただろうし」

安宅「あの曲のギターは、ミックスをもう完成させて送らなきゃいけない当日の朝3、4時くらいに〈これは終始ワウのギターがないとダメだな〉と思って、小山さんにお願いしましたね。〈音色は好きに変えていいので〉と書き添えて。そしたらストーン!って早めにギターのトラックが来たんですよ。〈私はこの音が最初から鳴ってました〉って書いてあって(笑)。〈じゃ、最初から言えよ〉って思ったけど(笑)」

脇山「半年前には生まれさえしなかったいろんなアイデアが生まれて、4か月かけてここまでたどり着いた感じがすごくあります」