ベルリンが拠点のチェリスト水谷川優子とイタリアを中心に活動するピアニスト黒田亜樹。ともにヨーロッパで活躍してきた盟友同士によるオール・ヴィラ=ロボス・アルバム。収録曲はタイトルに使われた“黒鳥の歌”、おんぼろ機関車を描写した“カイピラの小さな汽車”など魅力的な音楽ばかり。早くからヴィラ=ロボス、ピアソラなど南米音楽に取り組んできた演奏家ゆえ自家薬籠中の物。両者の光陰硬軟の引き出しの多さを生かし、リズムの舞い、艶、憂いや軋みといったヴィラ=ロボスの妙味を存分に伝える。しんと冷えた夜の部屋で洋酒を片手に聴くのにうってつけの好盤。