日本の伝統楽器である津軽三味線、篠笛、鼓、そして、西洋の伝統を受け継ぐヴァイオリンを融合させた、古くて新しいユニット竜馬四重奏

 竜馬四重奏は、篠笛、津軽三味線、鼓とヴァイオリンという編成。和洋折衷のグループはいるが、鼓の存在が個性のひとつだ。待望の新作『connecting』は、2020年秋にレコーディングが始まった。

竜馬四重奏 『connecting』 ポニーキャニオン(2021)

「アルバムが作れる、出せるということが本当にありがたく、元気になれるような音楽を届けたいという思いがまずありましたね」(ヴァイオリン・竜馬)

 彼らも海外公演を含む2020年の日程がほぼキャンセルされた。

「こんな暗い時期だからこそ、自然にアップテンポな曲が生まれてきて、これまでになくアルバム全体が明るい作品になったと思います」(津軽三味線・雅勝)

 なかにはオリンピックを想起させつつ、聴く人を鼓舞するような“VIVA! NIPPON”という曲もある。カヴァー3曲を除く収録曲は、メンバーによるオリジナル楽曲。全編で和楽器の響きが際立つが、古典に偏ることなく、ジャンル的にはボーダーレスで、エレクトリック・サウンドが大胆に取り入れられている。

「結成当初は、竜馬さんの希望もあり、オーケストラと和楽器の融合がひとつのコンセプトでした」(雅勝)

「それがオリジナル楽曲を書くようになってから、自分達の中で方向性がより明確になっていき、自然にサウンドが広がっていったんですよね」(篠笛・翠)

 そのモダンなサウンドのなかで、ポンポンとテンポよく、でも、凛とした音の鼓と、〈イヨ~〉という掛け声が他にはない独創性であり、海外においては現代のジャポニズムとして鮮烈な印象を与えるのではないか。

「なるべく古典のスタイルでやりたいという気持ちが強くあります。指揮者のいない古典において、掛け声は信号の役割があるので大切だし、声というのはそもそも感情を一番のせやすいものなので、楽曲の感情を掛け声でも表現したいと思っています」(鼓・仁)

「仁さんは、絶対ドラムのように鼓を叩かない。篠笛もすごくきれいに奏でるとフルートみたいになるし、津軽三味線もモダンに弾きすぎると、ギターになってしまう。そのせめぎ合いが難しいところです」(雅勝)

 難しいと言うが、そこが演奏する側と聴く側、両者のおもしろみになっているのは間違いない。ところで、タイトルにはどんな思いが込められているのか。

「ライヴどころか、人と会うことさえ難しい現状のなかで、音楽を通してみなさんと繋がるところを作りたい、このアルバムがそういう存在になってくれたらという思いで、『connecting』にしました」(竜馬)