コラム

エメット・コーエン(Emmet Cohen)『Future Stride』ロン・カーターらに渡された伝統の松明をピアノで未来へ繋ぐ

Emmet Cohen @ Detroit Jazz Festival 2019. ©Takehiko Tokiwa

21世紀のローリング・トゥエンティの幕開けを告げるスマッシュ・ヒット

 ワイド・レンジなスタイルを誇る気鋭の若手ピアニスト、エメット・コーエンが、いよいよメジャー・レーベル・デビューを果たす。この数年、〈Master Legacy Series〉と称して、ジミー・コブ(ds)、ロン・カーター(b)、ベニー・ゴルソン(ts)、ジョージ・コールマン(ts)らと共演し4枚のアルバムをリリースし、レジェンドたちからジャズの伝統の松明を、コーエンは受け継いだ。本作は、長年行動を共にするラッセル・ホール(b)、カイル・プール(ds)のトリオを核に、メリッサ・アルダナ(ts)、マーキス・ヒル(tp)がゲストに参加。同世代のアーティストたちと、ジャズの伝統と未来をシームレスに繋いだ、鮮烈なアルバムだ。

EMMET COHEN 『Future Stride』 Mack Avenue Records(2020)

 「このアルバムは、コロナ・パンデミックが始まる前の2020年の1月に録音した。まさに21世紀のローリング・トゥエンティ(ジャズ・エイジと言われた狂騒の1920年代)の始まりを告げるアルバムになった」と、コーエンは語る。ストライド・ピアノ・スタイルの名手として知られるコーエンだが、そのプレイにはコンテンポラリー・ジャズのエッセンスも香る。「今のジャズ・ミュージシャンを見渡すと、トラディショナル、ビバップ、フリー・ジャズ、コンテンポラリーと、なぜか全てジャンルに分断されているように感じる。僕は、それをナンセンスに感じ、自分が素晴らしいと思うジャズ・ピアノのスタイルを、全て盛り込んだアルバムにしたかった」。コーエンは本作で、ジャズ・ピアノの歴史を俯瞰し、その未来を切り拓いた。

 エメット・コーエンは、コロナ禍の中、4月から毎週月曜日の夜(日本時間の火曜日の朝)に“Live From Emmet's Place”と名付け、ハーレムの自宅アパートから、レギュラー・トリオに多彩なゲストを迎えて、40回を超えるライヴ配信をしている。このジャム・セッションは、現在の過酷な状況の中でも、ニューヨーク・ジャズの輝きを失わず、世界中の人々を鼓舞し続けている。

 


LIVE INFORMATION

ライヴ配信(毎週月曜日 日本時間は火曜朝9:30)
Emmet Cohen Facebook : www.facebook.com/heyemmet

ライヴ配信アーカイヴ
Emmet Cohen YouTube : www.youtube.com/channel/UCuKBb--0F0qT_deSpMLsFRAemmetcohen.com/

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