写真提供：ブルーノート東京
多彩なアーティストとのセッションで、進化を遂げたエメット・コーエン
パンデミックの間、毎週月曜日の夜に自宅リヴィング・ルームでのジャム・セッションの配信、〈Live from Emmet’s Place〉で、絶大な人気を博し、ジャズのストリーミングでは、トップのアクセス数を誇ったエメット・コーエンが、ついに初めてのリーダー・グループでの来日公演を果たした※。ブルーノート東京を、初リーダーで3日間6セットをソールドアウトという快挙を達成したエメットに、彼の音楽の現在地点について、訊いた。
「我々は2020年の秋のヨーロッパ・ツアーから、演奏活動を再開した。パンデミック中にヨーロッパを訪れた、初めてのアメリカ人のバンドだったと思う。それからヨーロッパには10回、ツアーを巡っている。アジアには、今年の1月にもタイと韓国に来た。今回は、インドのムンバイと、東京、そしてこれからシンガポールへ向かう。もちろんアメリカ国内のツアーも行った。オーディエンスは、パンデミック前よりも、ライヴ・ミュージックの価値を感じてくれているし、また多くの人から〈Live from Emmet’s Place〉を見ていると、話しかけられた。今回ブルーノート東京が満員になったのも、インターネットのパワーのおかげだね」。と、エメットは多忙な日々を語る。エメットに「コンサートは、アルバムの再演というよりも、〈Live from Emmet’s Place〉を、ブルーノートで再現することを意図しているのでは」と問うた。
「その通り。昨晩は、私のストリーミングに5回登場し、アルバムにも参加してくれて、1年前からは東京で暮らしているパトリック・バートリー（アルト・サックス）が、凄いプレイをしてくれた。その模様はビデオで収録したので、近日、ストリーミングでオンエアする。〈Live from Emmet’s Place〉は、パンデミックが明けてからは、月に一度更新しているが、現在まで115回（2024年1月時点）を配信した。95歳になるシーラ・ジョーダン（ヴォーカル）ら大ヴェテランから、18歳のアーティストまで、普通だったら共演することが稀な、さまざまなタイプのアーティストとプレイして鍛えられた。この経験が、私の大きな成長の糧になったと思える。今はツアーで多忙だけど、今年の秋ぐらいには、新加入したフィリップ・ノリス（ベース）迎えて、ニュー・アルバムをレコーディングしたいと思う」
