「この5年間のいちばんの思い出は……昔のことはそんな覚えてないんですけど(笑)、ここ最近だと、やっぱりメジャー・デビューを発表した瞬間は鮮明に覚えてますね。10か月ぶりの有観客ワンマンでファンの皆さんに会えて、そこで発表できたのも嬉しかったし」(四島早紀)。

 2016年2月の結成からちょうど5年……今年1月に念願のメジャー・デビューを報告したDEAR KISSは、プレイングマネージャーの四島早紀が齋藤里佳子らと立ち上げた5人組。洗練されたダンサブルな音楽性も支持されるガールズ・ユニットだが、紆余曲折を経たメンバーたちはいずれも過去にアイドル活動してきた経歴の持ち主でもある。

 「それぞれやってきたことが違うじゃないですか。だからメンバーみんなが自由に、好きなようにやってくれたら嬉しいなって思っていますね」(早紀)。

 「みんな個性が凄い強いけど、一人一人が一人一人のことを思っているからこそ、自由にできるんじゃないかな。私は前のグループで恵まれていたぶん、いまの環境に慣れるまで自分と戦ってた時期もあるけど、その経験からたくさん成長できたし、強くなれたのが良かったです」(伊山摩穂)。

 「私自身は変わってないつもりでも、環境が変わったことで、悪く言う声がグサッと刺さったこともありました。でも最近は〈イキイキしてたね〉ってワンマンを観たファンの方が喜んでくれてて、それが嬉しかったですね」(山田まひろ)。

DEAR KISS 『ダンスはキスのように、キスはダンスのように』 ビクター(2021)

 そんな状況で届いた待望のメジャー・デビュー・シングルが“ダンスはキスのように、キスはダンスのように”。純粋にCDリリースとしては“ため息の世界はいらない”(18年)ぶりで、この5人での初シングルにもなる。

 「この5人で形に残るものが出来るっていうことが何より嬉しいです」(ののこ)。

 「次に出すならメジャーで出したいなって考えはあって。実はけっこう前に決まっていたのが延びてしまっていて、まだかまだかとメンバーは待ち望んでいました」(早紀)。

 「チラチラ耳に入ってきてはいました(笑)。でも、その間にコロナやメンバーの入れ替えもあったりしたので」(摩穂)。

 「そのタイミングもあったし、全部が運命、必然だったんですね」(早紀)。

 「4人はメジャー経験があるけど、私だけ初めてなので、やっとスタートラインに立てて、新しい挑戦ができるかなって、ワクワクすることが増えました」(齋藤里佳子)。

 表題曲“ダンスはキスのように、キスはダンスのように”は往年のディスコ要素をキャッチーに表現したDEAR KISSらしい一曲。

 「ちょっと懐かしさも感じちゃうディスコ・ファンクで、誰もが一回聴いたら忘れられないような曲になってます」(早紀)。

 「最初に聴いた時から〈わっ、これマジでやりたかった感じの曲だ!〉って凄くドンピシャでした」(里佳子)。

 「私自身、この曲に〈枠に囚われずにもっと自分を出していいんだよ〉って言われてる気がして。大人っぽい曲調に隠れて勇気や元気が貰える曲です」(ののこ)。

 「DEAR KISSの曲って大人っぽいイメージもあるし、カッコイイだけじゃなくて女性らしさもあるなと思っていて。この曲にはそういうDEAR KISSらしさが詰め込まれていて、大事なメジャー・デビュー・シングルに相応しいし、新しい道を進んでいくに相応しいなって思います」(まひろ)。

 カップリングには「歌うと自分たちも気持ちが明るくなる」(早紀)という前向きな“スパークルグリッター”を収録。さらにもう1曲、YouTubeで先行公開されて50万再生を記録している“World Smile”はコロナ禍を受けて生まれた温かいダンス・ポップだ。

 「DEAR KISSは海外に行く機会もたくさんあったので、いまは簡単に会えないけど、一緒に歌って繋がってるから大丈夫っていうメッセージを世界中の人に届けられるようにこの曲が出来ました。〈ひとりじゃないよ〉って伝えたい一曲です」(摩穂)。

 そんな背景もあって表題曲は中国語/英語ヴァージョンも収録。往時のように生のステージを国内外へ届けられる機会は先だとしても、ここで存在意義を改めて示すことは未来へ繋がるものだろう。転機を迎えた5人のここからの飛躍に期待したい。

 「DEAR KISSを好きな人がどんどん増えていくのが、ファンの方にとっても嬉しいことだと思うので、ここから上がり続けられるように努力していきたいです」(摩穂)。

 「変わらず応援してくれてる人に恩返ししたいし、初めて知ってくださる方ももっと巻き込んで、みんなで一緒に進んでいきたいです」(里佳子)。

 


DEAR KISS
四島早紀、齋藤里佳子、ののこ、伊山摩穂、山田まひろから成るダンス&ヴォーカル・ユニット。元GALETTeの四島がプレイングマネージャーを務める形で2016年2月に結成。同年7月に初のミニ・アルバム『DEAREST DREAM -first and best moment-』を発表し、11月のシングル“SHINY SHY GIRL”リリース後に元GALETTeのののこが加わる。ライヴ中心に活動を展開し、全国ツアーや海外でのパフォーマンスも経験。2018年4月に元GEMの伊山が、2020年7月に元ラストアイドルの山田が加入して現編成に。今年1月にビクターとの契約を発表。メジャー・デビュー・シングルとなる“ダンスはキスのように、キスはダンスのように”(ビクター)を4月14日にリリースする。