ウィーン・フィルのヴィオラ奏者と結婚した女優の中谷美紀さんが昨年の5月1日から7月24日までのオーストリアでの生活の日々を綴った日記。タイトルを見た時、なぜ余所者感のある〈滞在記〉という言葉を使っているのかと思ったが日本での仕事もあるため日本とオーストリアで半々の日々を過ごしているためのようだ。コロナ禍のなか、オンラインでのドイツ語学習や庭の土いじり、日々の料理や義理の娘、たまにウィーン・フィルの仲間との交流が淡々と綴られ、政治の話や人生観など深い省察にも話はとぶ。日本への帰国で日記は閉じられるが〈果てしない探求の旅路〉の続きをいつかまた読ませていただきたい。