30歳という節目を迎えて、さらなるキャリアの充実を図るUKハウス新世代筆頭株の3年ぶり通算4作目。2019年のミックス作品『DJ-Kicks』で自身の幅広いルーツを回顧してみせていたように、本作も彼の才能の深淵と奥底が存分に味わえる作品だ。噛めば噛むほど味が滲み出す滋味ニマル・チューンの先行カット“Snakeskin∞Has-Been”を筆頭に、乾いた疾走系テクノ“Mothra”、幽玄な世界観に美しさ極まるダウンテンポ“Ecce! Ego!”など、近年のインダストリアル~アンビエント~ダンスホールなどといった多様なジャンルをしっかり噛み砕き、融合したうえで提示してみせた音像はフォーマットこそテクノ/ハウスではあるものの、まったく新しい何かのように我々に響いてくるだろう。