2012年から作家・詩人・作詞家として活動している、元チャットモンチーの高橋久美子さん。〈webちくま〉で連載されたものに追加・再編集した初の小説集です。19篇の短篇が収録され、それぞれが少しずつ、どこかで、つながっている物語。まるで私的な日記のように生活感あふれる描写の中に、なにげないものや名前も知らぬ人の中に、過去と未来が宿っている。特別なことは日常の中に潜んでいる。そう思わされました。この世界のすべてに思いをはせるのは難しいけれど、声を上げないものに対しての心の在り方が、すこし変わる気がします。久しぶりに“親知らず”を聴きました。離れて暮らす家族を思います……。