「おかえり、ウミガメ」カメラマン高久至がアカウミガメの姿をとらえた絵本で〈亀生〉に想いを馳せる

高久至 『おかえり、ウミガメ』 アリス館 (2021)
2021.07.08

カメと暮らしはじめて約30年になるが、この生き物が持つ多くの魅力のひとつは、彼らのゆったりとしたタイム感だと思う。あまり動かず、晴天の日は手足を伸ばしながらのんびり甲羅干し。寿命だってほかの小動物と比べて長い。とはいえ、意外に逃げ足は速く、〈脱走の名人〉だなんて言われているところもかわいいのだ……。屋久島在住のカメラマンが同地で産卵するアカウミガメの姿をとらえたこの絵本によると、砂浜で孵化した赤ちゃんカメは、その後太平洋を渡り、約20年後にまた島に戻るのだという。いろんなことがあったんだろうな。つい、一匹一匹の20年の歩み――亀生に想いを馳せてしまう。

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