92年のヴァレンタインデーに生まれフィリーで育ったシンガーによる初のフル作。ピンクの服を着た巨漢シンガーというインパクトや、TikTokで人気を博した“At My Worst”に代表されるほっこり温かいラヴソングのわかりやすさは、今風のグローバル・ポップ好きに広く親しまれる魅力を放つ。ボブ・マーリーのアレを彷彿とさせる冒頭の“Pink City”など、Dマイルらが提供する大らかでゆったりした楽曲が全体の印象を決めつつ、マイケル・ジャクソンの気分で作ったという“Give It To Me”やオーク作のブギーな“Icy”もポップで好印象。そして何より、柔らかな地声から甘く滑らかなファルセットまで、ひたすらに優しいヴォーカルが全編を覆う仕上がりが、全世代向けの現代スウィート・ソウルとして抜群だ。