〈浮気〉してもらえたら
そういった諸々のときめきを経てキャリアを積み重ねてきた彼女が、デビューから2年目に突入するタイミングで初めてのシングルCD『ハネムーン』をリリースする。「サカナクションさんの“忘れられないの”のMVで白のジャケットを着ているヴィジュアルがとても好きで。それこそオメガトライブさんみたいな夏のイメージの……」というコンセプトのヴィジュアルもチャーミングな、軽やかでちょっとセンチ、80年代のスタジオぴえろ作品のエンディングにもハマりそうなナンバーは、そのタイトルからしてハッピーなムードが全開! ……かと思いきや、まさかの○角関係!
「まさにそれを狙ったというか(笑)。1年を通して応援してくださってる方には〈降幡愛の書く歌詞ってこうだよね〉っていうのを染み付けられたと思うんです。シングルのタイトルは、ちょっと目を惹くポジティヴな単語にしようと思って“ハネムーン”にしたんですけど、聴いてみると〈浮気なハネムーン〉……そこで〈やっぱりそういう歌詞だよね〉っていう答え合わせをしてもらいたいなって。2種類のジャケットのアートワークでも〈表と裏〉を表現してるんです。表に見えているものだけが真実ではないというか……。あとはその、〈ハネムーン〉っていまの人はあまり言わないですよね(笑)。カタカナ入れたがりなんです、歌詞に。中原めいこさんの曲が好きなんですけど、“君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。”とかね、カタカナが羅列しているのってポップだなあって思うんですよ」。
カップリングには、“真夜中のフライト~約束の時刻~”と、6月に先行配信されていたウェディング・ソング“シークレット・シュガー”を収録。“真夜中のフライト~約束の時刻~”は、10月から始まる〈降幡 愛 2nd Live Tour “ATTENTION PLEASE!”〉のテーマとして書かれた楽曲で、ジェット機のSEが鳴るオープニングからアーバンな気分を高めてくれるメロウなミディアム・ナンバーだ。
「ツアーはZepp Hanedaからのスタートということで、やっぱり空港とか飛行機とかをテーマに、それも夜の雰囲気が好きなのでそのイメージで詞を書きはじめたんです。飛行機の音から入っていくところは、角松敏生さんの“AIRPORT LADY”のイメージ、あんなのがいいなあって伝えたんです。ツアーのために書き下ろしたので、ファンの皆さんに向かって〈しっかり捕まえておいて〉とか、自分のことを〈フラッパー〉って歌ってるんですけど、これだけお転婆なことをやってる私についてきてくれてありがとう、もっといろいろやっちゃうぞ!っていう意味を込めました」。
さらに加速する降幡ワールドを展開した今回の“ハネムーン”。本作は、新たな趣向が楽しみなセカンド・ツアー、そしてシンガー・降幡愛のセカンド・シーズンに向けてのテイクオフ作品と言えるだろう。
「〈降幡愛〉ってエゴサしてみると、嬉しいことにすごく音楽好きの方がツイートしていたりするんですけど、いろいろなアーティストさんがいるなかで、降幡に〈浮気〉してくれる方にもたくさん来ていただいて(笑)、この世界観イイかも!って思ってもらえたらいいなと思います」。
降幡愛の作品を紹介。
左から、2020年作『Moonrise』『メイクアップ』、9月29日にリリースされるライヴ映像作品「降幡愛 1st Live Tour APOLLO at Zepp DiverCity(TOKYO)」(すべてPurple One Star)