静かで内省的な音楽により胸に沁み入る古楽のような響き。しかし時に人間の心の深いところに突き刺さるような現代感覚も備えた不思議な音楽でもある。アルヴォ・ペルトの最高傑作“ヨハネ受難曲”の新しい録音は透明で瑞々しく歌われた名演。ラテン語訳の聖書をテキストにしていて、聴き手としては言葉の壁はあるが、それを補ってあまりある歌とオーボエ、ファゴット、ヴァイオリン、チェロの器楽が絶妙に混じり合った深淵な世界を聴かせる。イエスを歌うハーパニエミの柔らかな美しい声、そして合唱団の弱音を大切に歌った、雄弁な語り口が聴きどころ。バッハの同名作品に劣らぬ感銘を与えてくれる。
ヘルシンキ室内合唱団(Helsinki Chamber Choir)他『ペルト:《ヨハネ受難曲》~独唱者、混声合唱、器楽奏者とオルガンのための(1982)』アルヴォ・ペルトの最高傑作を瑞々しく深遠に表現
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