2019年に解散したアカシックのメンバー、理姫(ボーカル)、 奥脇達也(ギター)、バンビ(ベース)によるユニットの2作目。バッキバキのベースにノイジーで不穏なギター、あっこゴリラをフィーチャーしたリード曲“Heels feat.あっこゴリラ”は、これまでのアカシック像、可愛い連中像をぶち壊すような最凶ソング。生きている以上は悪も悪役も必要だ・重要だということを理姫とあっこゴリラがそれぞれ自己流に説いており、特に〈正統派や透明感(ピュア)ってもんは人である以上無縁だ〉という理姫のリリックにその思想の全てが集約されているように感じる。そのダークヒーロー的思考を狂暴凶悪な音がさらに倍増させており、かつてないカッコよさに仕上げられている。

他の収録曲も、一見明るそうに見えて、その中にあるゆるいダウナーさが心地いい“蛇行道連”や“ウルトラウェア”。殿方との交際に悩むハイテンポなナンバー“互市才覚”。小気味よいオシャレさを持った“四月”に、ラストを飾るに相応しいスロウナンバーの“マージン”と佳曲揃い。特に理姫の書く歌詞はすごいことになっており、恋愛中に思うあれこれや身近な光景から仏教的思想(?)まで、作詞家としての才能も爆発している。