Mikiki編集部員とTOWER DOORS担当・小峯崇嗣の5人が毎週火曜(歌謡)日に〈トキめいた邦楽ソング〉をレコメンドする連載〈Mikikiの歌謡日!〉。今週も張り切ってまいります。紹介した楽曲は下記SpotifyとYouTubeのプレイリストにまとめているので、併せてお楽しみくださいね。 *Mikiki編集部
【小峯崇嗣】
Sahnya “あしたはれかな”
新潟出身のシンガー・ソングライター、Sahnyaが昨年12月にリリースしたアルバム『My poetic scenes』から。初めて聴いた時に、彼女の透き通る美声に一瞬で虜となりました。最後の〈あしたのことはあしたの自分がなんとかするでしょう たぶん〉とスッと心に寄り添う歌詞に思わず涙が出そうになりました。
【酒井優考】
猫を堕ろす “裏切り (meiyo remix)”
先週配信リリースされたEP『宇宙・裏切り・怒り・ときめき』がマジでキていて、そこに収録されているmeiyo再解釈のこの曲、「塊魂」のBGMみたいな切なさ&キラキラさがあってすごく好きです(伝われ)。ぜひ原曲と聴き比べを。
ネクライトーキー “メジャーデビューAL「ZOO!!」trailer”
このトレイラーをパッと聴いただけでもたぶんわかると思うんですけど、キラーチューンばっかり。特に2曲目の“放課後の記憶”の切なさがすごい。あと、ぜひ口に出して読みたい“渋谷ハチ公口前もふもふ動物大行進”というタイトルとその音のインパクトよ。Mikikiでは発売日近辺でインタビューを掲載予定です。
chelmico “Easy Breezy”
いまやノリにノる二人のノリノリ具合を田向潤監督がマシマシにしてくれてます。途中出てくる真ん丸Mamikoがツボ。
可愛い連中 “ダ犬マイト”
元アカシックの3人が組んだ新感覚ユニットがデモ音源を配信中。余計な装飾はここでは排除して、歌と演奏に集中って感じ。でもやっぱり切なさがあっていいんだよなあ(本日ここまでに〈切なさ〉って3回も言ってる)。
Awesome City Club “アンビバレンス”
ESME MORI氏をアレンジャーに迎えた新生オーサムの3か月連続配信曲1発目。あなたの生活をオシャレに。
tricot “真っ黒”
あなたも私も腹の中は。
リーガルリリー “1997”
昨年末のワンマンライブの日は、1997年生まれのヴォーカルほのかさんの誕生日の日でもあって、その時初披露されたこの曲はとっても印象的でした。自分は何のために生まれたのかなって考えさせられるような。で、MVが公開されたら、途中メンバー3人の幼少期の映像があって、小っちゃい女の子が転んじゃったりして、成長した3人とすごく対照的で、なんだか余計ガシッと心を掴まれました。〈私は私の世界の実験台〉か……。リーガルリリーもインタビューを掲載予定です。
日食なつこ “四十路”
中学の頃、授業中に姿勢が悪いと出席簿の角で叩いてくる先生いたけどあれ体罰だよな……なんて前世紀のことはどうでもよくて、しかし日食さんの曲はいつも、だらけきった自分の背筋がぴしっと伸びるような言葉の強さがあります。だって一言目から〈しゃがみ込む事を禁ずる〉ですから。しゃがむどころかいま寝っ転がってましたよ、本当すみません。〈四十路〉というテーマ、そしてMVに登場する雪のなかのロケット工場については、ぜひ動画の詳細欄の本人コメントを読んでもらいたいです。
【天野龍太郎】
銀杏BOYZ “大人全滅”
銀杏BOYZの17年の歴史が一時に鳴っているかのようなすさまじい、鬼気迫る一曲。『君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命』も『DOOR』も『光のなかに立っていてね』も大好きだけど、それが全部いっぺんに耳に飛び込んでくるような曲が聴けるなんて、思いもよりませんでした。思わず涙が……。
RAMMELLS “千年後”
新作『Beat generation』から。ソウル・ミーツ・シューゲイズな音楽性がだんだんと深化していることを感じられる一曲。
春ねむり “ファンファーレ”
YouTubeの英語コメントの多さからもわかるとおり、アジア各国など、海外でめちゃくちゃ支持が厚い春ねむり。彼女の新曲“ファンファーレ”は、マーチング・ドラムの荘厳さと勇壮なホーンに後押しされた、祈りのような歌。
DAOKO “御伽の街”
Prod. by 小袋成彬のグッドなダンス・チューン。レビューにも書いたとおり、宇多田ヒカルの“traveling”にほんのりとベース・ミュージック感をプラスした2020年ヴァージョンという感じがして、すっごくいいんですよね。
iri “24-25”
いまもっとも勢いがあるシンガーの一人、iriのニュー・シングル。ハッピーでグルーヴィーなビートとiriの堂々たる歌声に感じるのは、〈懐かしいフレッシュさ〉。
Daichi Yamamoto “Escape Remix feat. Gottz, MUD
2019年の顔の一人だったDaichi Yamamotoのすばらしいファースト・アルバム『Andless』から、“Escape”のリミックス・ヴァージョンがリリース。KANDYTOWNのGottzとMUDが客演したこの曲を聴いて、やっぱりMUDのフロウと声が好きだって思いました。
田我流 “Wave feat. C.O.S.A.”
こちらも2019年の傑作、田我流の『Ride On Time』から。Instagramでのパパっぷりも、このビデオでご飯を食べているC.O.S.A.も最高です。私はC.O.S.A.のラップが聴けるだけで幸せ。
Tsudio Studio「Yu-Koh online LIVE」
元日、掃除や洗濯をバリバリこなしながら流し聴きしていた配信ライブ? オンライン・イベント?の〈Yu-Koh Online〉が、ついにYouTubeで観られるようになりました。こちらはTsudio Studioのライブ映像。観ていると、〈ツジオさーん!〉って叫びたくなっちゃいます。
〈Yu-Koh〉初の東京編〈Yu-Koh β版〉は2月22日(土)、23日(日)に開催(もちろん、リアルなイベントです)で、ツジオさんは23日に出演。みんなで遊びに行こう。インタビューも読んでくださいね!
また〈Yu-Koh Online〉では他に、wai wai music resortのライブやエモちゃんの刺繍、李李飯店のレシピが見られて、コンテンツの充実っぷりがすごい。ツジオさんのアルバム・コンセプトに合わせたトラベルポーチなど、マーチもすばらしい!
thaithefishとINDGMSK「海千山千」
その〈Yu-Koh Online〉で放送されたthaithefishとINDGMSKによるミックス「海千山千」もMixcloudで聴けるようになりました。超いいですね。Light Mellowが〈ブリージン〉なら、これは〈常夏〉って感じでしょうか。冬だけどこの感じがヒネてる。やっぱりモノホンのディガーはちがうなって思わせられるミックスです。
そんなthaithefishとINDGMSKが所属するlightmellowbuの話題書「オブスキュア・シティポップ・ディスクガイド」、まだ手に入れていないあなたは遅れているぞっ!
MON/KU “DIORAMA”
ますますエッジーに研ぎ澄まされていっているMON/KUの新曲。ジャズの奇天烈なサンプリングがキマっています。
TOWER DOORSの企画〈6つの質問〉と〈私を作った55曲〉を読むと、彼のことがなんとなくわかってめちゃくちゃおもしろいので、ぜひチェックを。
【田中亮太】
YOUR SONG IS GOOD “Motion”(Live at 日比谷野外大音楽堂 2019.4.21)
ユアソンが昨年4月に行った野音公演から”Motion“のライブ映像を公開。最高にヒプノティックでダンサブル、世界的に見てもバンドの生演奏によるバレアリック・ハウスとして、ここまでのレヴェルのものはないのでは。彼らのダンス・カルチャーへの愛と理解の深さ、そして長年の修練をビッグ・リスペクト!
Rina Sawayama “Comme Des Garçon (Like The Boys)”
この曲はむしろ洋楽連載〈Pop Style Now〉で採り上げるべきかもですが。ロンドン在住のRina Sawayamaが、ダンスフロアで輝くビッチを讃えたヒップハウス・バンガ―。
Luby Sparks “Birthday”
着実な成長を続ける5人組の新曲は、ビョークが在籍したことで知られるアイスランドのストレンジなポップ・バンド、シュガーキューブスのカヴァー。原曲のニューウェイヴ・ファンク的な凸凹した演奏を、紙やすりで丹念に磨きあげて流線形にしていったかのような、ルビスパ流のドリーム・ポップに仕上げています。Erikaさんは、これくらいパワフルに歌い上げるほうが素敵ですね。
ヤユヨ “さよなら前夜”
ラブ人間・金田くんのツイートでさきほど知ったばかりなんですが、すでに再生回数30万回以上。めちゃくちゃ話題なんですね。ガールズ・バンド……というよりギャルバンって言葉が似合いそうな佇まい、ドライヴィンでグルーヴィーなロック・サウンドがチャーミング。
【高見香那】
DinoJr. “Safari”
吉田沙良(ものんくる)やリベラル(岩間俊樹、SANABAGUN.)などゲストも豪華な、明日リリースのニュー・アルバム『2091』より。どことなくレトロな歌詞、ブリッブリなベースなど、聴きどころはいろいろありますが、何より、テンポをかなり落としているのが最高にかっこいいです。これを聴けばフルで聴きたくなるであろう、冒頭曲としてもバッチリ!な一曲。前作『DINOSENCE』(2016年)の際のインタビューもぜひ。
Awich “Open It Up”
やっぱり凄いな……ということで引き続き聴いている『孔雀』のレビューはこちら。このバウアー製の楽曲のドラッギーさを増幅させている頭がオカしくなりそうなビデオが気になっていたら、売れっ子映像作家の新保拓人ワークスでした(Official髭男dismの新曲“I LOVE...”もそうでした)。
NENE「蛇含草」Beat by Seiho
その『孔雀』にも参加しているNENEさんが落語を。これは年初に公開されていた月亭太遊監修のもとラッパーがビートに乗せて落語を披露するというRed Bull Musicの企画で、どういうことを考えて作るのか気になるSeiho氏のビート × 艶やかなNENEさんの語り、なんとも不思議な心地よさがあります。新しい感覚。HIDADDY、田我流(誰よりも板についている)ヴァージョンも。